チームというのはどんな試合でもその試合の位置づけということを設定しているはず。

で、当たり前だがこの試合がどういう位置づけでなされたのか、いちはしは知らないから、ここに書くことはそのうえでの意見であることをまずは書いておきたい。


たとえば、この試合は負けてもいい、次の大会で勝てればいい、今日はそのための経験を積む試合だと考えているのかもしれない。

ことに、高3生のほとんどが7月の選手権までやるのだとしたら、そういう可能性は大いにある。だとすると今日の試合で勝つためにはこうするべきだったという意見は全くの的外れになってしまう可能性もある。

だから、ここからはそういうことを踏まえた上で読んでみて欲しい。


まずは試合の位置づけ以前の問題。


(フィジカル)
非常に低い。がっかりした。高3は今更上がらないだろう。


いちはしが指導し始めた10年以上前に県の大会の1,2回戦レベルでコンタクトプレーがあったときに倒れるのはうちの選手ばかりだった。
そのレベルからスタートして県の4,5回戦レベルなら互いに倒れない、2,3回戦レベルならば倒れるのは相手の選手ばかりという次元(フィジカルレベル)に達するのに5年を要した。


見たところ、今の現役チームはそのレベルを放棄しているように見える。
世間によくあるボールスキル「ばかり」とか、ボールを使った練習「ばかり」をやっているとそうなる。

ひとつは目標とするベスト8レベルのチームに集まる選手たちはもともとフィジカルが良い。そのレベルと互角に戦うには数倍の努力が必要なはず。
もうひとつはそのレベルの選手たちはボールスキルも上。それを高校3年間同じように磨いていっても差は縮まらないまま。
いちはしはそう考えるのだが、まあ、そこは考え方と指導法の問題だから、これ以上は言わない。


ただ、今日の試合でぶつかって倒れるのはうちのチームの選手ばかり。

ことに今日の相手は2次予選とは思えないぐらいに弱かったので、あってはいけないことだと感じた。
3年生は今更間に合わないが、2年生はどうにかすればいいのにと感じた。


高校生になればどんなにいい技術があってもフィジカルがなければ通用しない。
しかも、通じている何人かの選手の強さは高1入学時点から強かった選手たち。
持って生まれた身体能力の強さに寄っているだけだから悲しい。


センターフォワードとセンターバックは普通に競り勝っているが、残りの選手はコンタクトプレーでぶつかり負けるシーンが目立つ。

彼らふたりは高1の入学当初からそうだったから驚くにはあたらない。他の選手は何していたのか。

しかし、高3に関しては今更言っても始まらない。


ポイントは苦しいときに競り勝ってキープしてくれる味方にどのようなボールを出せばいいのか、そこのところが不足していると感じた。そこだけはすぐに解決可能。


(ヘディング)
ヘディングで勝てるのはセンターフォワードとセンターバックのふたりのみ。他の選手は8割方競り負ける。
その競り負けたときの落下点、あるいは少数の競り勝てる選手の勝てたときの落下点を予測していない。
だから、同じようにボーッとしているだけの相手の選手にセカンドを奪われている。
その一瞬の動きの止まり方は互いに小学校レベル。能動的なアクションを起こす選手はどこにもいない低レベルな試合。


味方が競り負けるのを予測せよ。はね返されるボールの落下点を読め。
味方が競り勝つのを予測せよ。ボールを呼び込んで裏に走り出せ。


競り勝とうが負けようが、味方のヘディングがどこに落ちるかぐらいは読んでおかなければならない。
それがチームというものだが、互いの能力への理解が欠落している。


ヘディング能力に必要な身体能力は短期間では改善しない。
しかし、ヘディングの技術そのものは短期間でもかなり改善できる。

25、26,27期や32期、33期あたりに聞けばわかるはず。


ジャンプヘッドそのものの体の入れ方や競り勝てない相手へのファウルにならない体のぶつけ方など学ぶべき。
競り勝てる選手ふたりはゴールになるように地面に叩きつけるヘディングのやり方を身につけること。
そのつもりでヘディングしても試合中は叩きつけられなくて、普通に前方に強く打つヘッドになる。
それでもセットプレーからのチャンスはものにできるようになるかもしれない。


(ロングキック)
ロングキックが失速して、バックラインの裏を狙っていると思えるのにそこに届かない。あるいは狙っていないのか…

これは単にロングキック練習の不足と筋トレの不足。

うちの長所だったところが短所になっていて非常に悲しかった。


現代のサッカー指導の欠点はボールを蹴り足りていないところだと言い続けてきたのに、この試合では両チームともまったく蹴り足りていない。高校生とは思えないキックをする選手が半分ずつぐらいいる。


昔々、同じ対戦カードだったときに「こいつら裏しか狙わないよ」と試合中に相手のセンターバックに馬鹿にしたように言われたことがある。その「裏しか」キックだけで攻め続けて引き分けてPK勝ち。
当時のうちからすればこの相手は格上だったが競り勝った。たったひとつのことでもきちんと全員ができれば武器になる。


色々できて勝てればそれが一番いいが、裏しか蹴れなくとも「たったひとつの武器があれば」それでいいというのがいちはしの考え方。時間があればもうひとつ、もうひとつと付け足せばいい。あるいは世代の中心選手が持っている特長を活かせばいい。


ロングばかり蹴っているようなそんな格好悪いことして勝ちたくないというひとはこの先は読まなくていい。


そういう現代的な指導の結果が、2次予選の2回戦なのに、こんなにつまらない試合を生んだ。


3回戦か4回戦の相手チームと思われる先生と選手が偵察に来ていたが、「期待はずれだったな」と話ながら帰って行った。それほど低レベルは誰の目にもはっきりしている。


次の大会まであと1ヶ月でもロングキックとヘディングは改善できる。