夕方から上野に向かいました。
実は以前上野に勤務していまして、懐かしい、甘く苦い思い出の場所でもあります。

ビックリしたのは公園の変わり様。
ニュースで聞いてはいたし、勤務時から「どうやら公園内にスタバができるらしい」とは聞いていましたが、噴水が埋め立てられちゃったなんて!
だいぶショックでした。
お弁当を持って、噴水のそばで観光客に混ざりながら石段に座り、午前中にあった嫌なことや、午後に向けての気分転換をする、私にとっては癒しの場所でした。
確かにカフェの需要はあったと思いますが、一角も残さず潰してしまうとは。
節電の風潮もあったからでしょうか。
噴水越しにみる東博(東京国立博物館)も好きだったんだけどな。

右奥が東博です。
スタバの裏手に今春リニューアルオープンした都美(東京都美術館)があります。
早く行きたいな。


さてさて、本題の科博(国立科学博物館)の展覧会です。
以前の職場の知人からチケットを入手。
金曜日の夜開館が断然いいので、以前から特別展をみるときは金曜日のアフター6に行ってました。

科博って、ペルーと仲良しみたいですね。
私が記憶している限り、この5年くらいの間に3回もペルーの文明展(ナスカ、シカン、インカ)をやってます。
でも、全部見ていますがやはり今回のが一番面白かった!
というのは、前回までのも悪い記憶は全くないのですが、今回は「考古学」「人類学」「歴史学」の3つの視点で展開されていて、単なる文明展だけではなくて面白かったからです。
考古学と歴史学の違いって、今までよく考えたことなかったけど、モノで見るか、史料で見るか、ということが大きな違いだそうです。
驚くべきことに、インカには文字がなかったとか。信じられません。どんな文明だって、日本の縄文時代だって、象形文字から独特の文字が生まれています。会話があれば記録したりするのは当たり前と思っていました。インカが栄えたのは16世紀ごろ。日本では室町時代です。文明の始まりが違うから比較できないけど、「ほんとにー?」と思いませんか?
そして文字もないのにこの文明の研究が遺物からこれほどに明らかにされているなんて。

それから、インカの他とは違うところは、互恵性ということです。
例えば、侵略して征服したら、征服された側はいろいろな役務や負債など、ただただ降服し受け入れるだけのことが多いと思います。
しかしこの文明は、征服した側は、征服された側にふんだんに豪華な贈り物や特権などを与えます。そしてその恩返しとして服従するというわけです。なにを恵みと捉えるかは難しいですが、そんなシステムで成り立っていたというから、インカの王様も考えたものだなあーと思いました。

もうひとつの人類学は、もちろんミイラです。
今回は布にくるまれたミイラを日本でCTにかけて、体内の様子まで見てしまおうというトピックがありました。
それ自体はもちろん興味深かったのですが、会場内で流されているそのVTRのキャプションにあった文字につい目が。
協力として、あのチームバチスタで有名になった海堂尊さんがいたんです。
そうです、これこそまさにAiの技術だったんですね。
死因とかを議論されたのでしょうか。

この他、文明の滅び、そして滅びたあとにインカが崇拝された過程などを様々な絵画や史料から示され、最後にはリャマやアルパカの毛のおさわりコーナーがあり(ここだけ写真OK)、エピローグとなりました。
最後には、最近お馴染みになった3Dシアターがありましたが、個人的には玉木宏の語りがNG。映像はなかなかよかったです。ナスカの時の方がよかったけど。


今回の音声解説は簡単で便利でした。仕組みはわかりませんが、解説シートの番号に機械の先を当てるだけで、ボタン操作無し。非常によかったです。研究者のミニトークもよかった。



さすがに子どもはいなくて見やすかったけど、それでも比較的混んでいたのは、やはり文明展の人気の高さでしょうか。 次回の元素展は明らかに中高生も視野にいれていそうなので、対象が広いと思いますが、楽しみです。