今年は暖冬だと言う。
「死ぬべきものが死なない感じがして、
春が気持ち悪い」
何年か前、
同じように暖かかった冬が終わろうとする頃、
あなたが言った言葉がよぎる。
カップを用意して、
ポタポタとコーヒーが落ちるのを待つ。
こういう「隙間」みたいな時間にあなたがいた。
今だって、いつだって、
手を伸ばせばいるのだけれど、
何故だか触れにくくなってしまった。
でもやっぱりどこかで頼りにしているのは確かで。
買ったばかりのMacBookの電源を入れて、
メール画面を立ち上げる。
世の中は私を置いて進化し続け、
気持ちを整理する間もなく、画面が立ち上がってしまった。
下書きに入ったままのメールを読み直して、刹那迷う。
ネットショッピングの「ポチッ」は
あまりに気軽で余計な「ポチッ」まで簡単にできるのに、
必要で大切な時はそれができない。
どこからともなく「ミャウ」と声がした。
姫が我が物顔でMacBookの飛び乗ろうとする。
あっ、と思った時には、ヒュルルとメールが送られた音がした。
「主ぃ、お腹すいた」
君はいつも私の大切を知っているみたいね。
というわけで
ようやく送らなければならないメールを送った昼下がり。
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