初訪問:2018年8月2日(木)

以後数回にわたって訪問

 

今回は日本の事について書きます。

 

最近私がハマっている事、それは県境にある駅巡りです。と言っても駅がちょうど境界線の上を跨いでいるところへという意味ではありません。もともと都会人だった私には初めはあまり実感は無かったのですが、県を跨ぐ人の移動というものは意外に少なく、また県境が出来るということは、そこには厳しい峠だったり大河だったり、何かと人を寄せ付けない(ひとけのない)何かがあるものです。それによって経済圏や文化圏が形成・分断されたりもします。そこを訪れる事にロマンを感じ、この企画を始める事にしました。

私が県境巡りを始める決意をした駅、それがこの俱利伽羅駅です。駅は石川県河北郡津幡町にあり、西隣にある石動駅との間に富山県小矢部市との境があり、さらにIRいしかわ鉄道とあいの風とやま鉄道の境界もあります。駅単位で考えるとIRいしかわ鉄道は当駅が終点、あいの風とやま鉄道は当駅が起点となり、石川県内である当駅はもちろんIRの管轄です。もともとこの2つの路線はJR西日本北陸線の一部でしたが、北陸新幹線の開業による並行在来線の経営分離に伴い石川県内の区間はIRいしかわ鉄道に、富山県内の区間はあいの風とやま鉄道に、さらに新潟県内の区間はえちごトキめき鉄道に、長野県内の区間はしなの鉄道に移管されました。

そんな、いろいろな境がある俱利伽羅駅ですが、無人駅です。イイ感じの駅舎があります。駅には「倶利伽羅峠の歌」という接近メロディがあり、列車が近づくとピアノのゆっくりした単純な音楽が鳴り響きます。JR時代からあると思われる拠点駅発車案内放送も聞かれます。ホームは複線区間にある1面2線で、駅舎とは跨線橋で通じています。駅出口は南側に1つだけ。反対側は山です。

駅は砺波山の峠である倶利伽羅峠に位置しているので木々が生い茂っています。富山県(砺波平野)側のあいの風とやま鉄道線から金沢行き電車に乗ると、石動駅までは普通の街並みが広がっていますが、石動駅を出て3分ほど走るとにわかに家が途絶え、車窓左側で北陸新幹線が新俱利伽羅トンネルに入るのが見えるとまもなくこちらも俱利伽羅トンネルに入り、県と鉄道会社同士の境界を超えます。トンネルを出ると見違えるような山間の景色が広がっていて、なかなか面白い車窓です。駅を降りたら、聞こえたのは大勢のヒグラシの鳴き声だけでした。この峠を越えれば金沢平野が広がります。

倶利伽羅峠には北陸道や、建設省が歴史国道に選定した道も通っています。倶利迦羅不動寺という古刹もあります。源平合戦の治承・寿永の乱の1つである倶利伽羅峠の戦いで知られています。源義仲軍がウシの角に松明を括り付け的中に向け放つ有名な場面が源平盛衰記にも載っています。

この通り俱利伽羅駅とそれを取り巻く峠は非常に興味深い場所です。古刹なども絡む峠という雰囲気が私はとても好きなので非常に楽しかったです。

駅を発車するAK521系455M泊行き

駅に到着するAM413系436M金沢行き

ホームと駅舎を結ぶ跨線橋の駅舎側の階段

ホーム側の階段

駅を発車するIR521系434M金沢行き