追悼の意を込めて、内田裕也氏に関しての思いをカタチにしようとしたら今日は「地下鉄サリン事件」から24年を迎えた。僕自身も利用していた電車で、その路線を使っていた。つまり時間帯が合えば被害者だったのだ。その際感じた背中の寒気は忘れられない。
では本題に、思春期の僕に強烈なインパクトを与えた日本映画は、「水のないプール」「十階のモスキート」「コミック雑誌なんかいらない!」と内田裕也主演の3部作(自分にとっては連結作品)だった。
その中で、「水のないプール」を取り上げたい。監督は若松孝二、ピンク映画で培ったエロティシズムと社会風刺を描くことに長けた手腕が発揮され、そこに主演の内田裕也がバイオレンスと狂気的な演技を披露する。実話(仙台で起きたクロロホルム連続暴行魔事件)に基づいた映画だが、単なる性犯罪を描いただけにはもちろん留まっていない。
ストーリーは、窓の隙間からクロロホルムを注入して部屋の中にいる目を付けた女性を眠らせた後、侵入して性的暴行を働く男(内田裕也)が捕まるまでを描いたものである。
当時の自分(10代)は、人生に行き詰まり、社会に対してのはけ口に犯罪を犯す主人公を肯定して捕まらないことを願っていた。初めて、盗人にも三分の理があることを知らされた映画でもある。
映画バカ(若松孝二)とロックバカ(内田裕也)の激しいぶつかり合いが、この映画を作りあげ、すっかりその迫力に魅了された。
ビート武の映画が好きな人には、この3部作はおススメかもしれません。ちなみに「コミック雑誌なんかいらない」では豊田商事事件の犯人役をビート武は見事に演じている。
裕也氏は、音楽ではタイガースを見つけ映画では若松孝二,崔洋一,滝田洋二郎と立て続けに優れた人材を発掘している。
僕が思う裕也氏は、実はプロデューサとして有能な人だったのである。無口で口下手な裕也氏が、人の資質を見抜き、どこか温かな包容力を持ち合わせていたのではないかと思う。
そして彼みたいに、ロックン・ロールを愛し、音楽以外の特に演じる役者としてロックした人物は珍しいのではないか。それは彼の生き様そのものが、ロックン・ロールだったことの証明である。彼は僕の中で素晴らしい作品と共に輝き続けるのである。…合唱🙏
*映画タイトルの由来
船橋ヘルスセンターの“水のないプール”で裕也がステージをして屈辱的だったと ジョン・レノンに話したら、今度“水のないプール”でジョイント・コンサートを開こうと語られた思いの具象化….
この中にある、裕也が「ジンジャーエールはジュースじゃねー」って台詞にハマりました😎