別れの言葉(後編) | 心の忘レモノを探しませんか...ときこの恋愛小説ブログ

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のんきに小説とか理想をぶちこんでいきます。

私は来る日も来る日も彼氏を待っていた。
1週間たったが、病室のドアから彼氏の姿はない。
私は諦めた。
きっと私を傷つけないために、言ってくれたのかもしれない。
だけど、すっぱり来ないって行ってくれた方が傷つかないよ……

そんなことを思っていた最中、
病室のドアから母親が汗をかきながら入ってきた。
外は暑かったのだろうか。
母親は息をきらしながら言い出した。
「……くんが交通事故で意識不明の重体だって!!」
私には意味がわからなかった。
絶句している私に母親は理由を言っていたが、耳に入らなかった。
急いでいた……くんが踏切の前で待っていたら、後ろから車に押し出されて電車に轢かれたのよ!!近くにいた人の的確な治療で意識は取りとめたけどすごく危ないらしいわ。時間は午前8時42分だったらしいわよ」
「はちじ……よんじゅう…にふん」
私との面会時間は9時からだ。
「私に会うために………」
私は枯れたはずの涙がまた溢れ出していた。
「今すぐ…会いたい。」

病室の中には彼氏が寝ていた。
「全力は尽くしました。あとは……くんの力を信じるしかないです。」
医者が言った。
「起きて…お願い……私を独りにしないで…」
私は彼氏を失いたくない。
そう呟いていた。
ピッ、ピッ…無機質な音が病室の中で響く。
「あなたが死んだら、私も死んじゃうからね!!」
私は無機質な音に負けないように叫んだ。

「俺が死んで…お前が死ぬなら……俺は絶対死ねないじゃん…」
えっ……
私は彼氏の顔を見た。
いつも見ていた笑顔がそこにはあった。
「慌てるもんじゃないな…慌ててたらこうなってた」
あはは、と笑う彼氏に私は笑顔なのか怒っているのか泣いているのかわからない声で小さく
「ばか」
と言った。
「やっぱりお前は俺なしでは生きれないだろ」
二人は笑顔で一晩中語り明かした。

1ヶ月後。
彼氏の体は順調に回復していった。
私は足以外順調に回復していき、車いすにも慣れていった。
「そういえば俺、あの日お見舞いのために料理を作ったんだ。お前の好きなオムライス。あったかいまま食べてもらおうと思って急いでいたら渡せなくなっちゃって」
彼氏は笑顔で誤魔化していた。
「だから今日作ってきたんだ。今回は傑作だぞ~!!今までいちばんだ!!」
目を輝かせしている彼氏は、子供みたいだ。
「懲りないなぁ…また電車に轢かれて死んじゃったらどうするの?!」
「死なないよ。」
彼氏はすぐに言った。
「俺が死んだらお前も死んじゃうから、俺は今のところ死ねないなぁ。それよりもオムライス食べて!!冷めちゃう!!」
はいはい…相槌をうちながら一口食べた。
「うん!!おいひ~!!確かに今まででいちばん!!」
よかった!!彼氏は言いながらある箱を差し出してきた。
「これ!!指輪!!貰ってください。」
首を振りながら否定する私に無理矢理はめた指輪は私の指にぴったり合った。
「絶対貰って!!」
私にはいとしか言わせてくれない空気だったので私はおとなしくはいと言った。

「俺とお前はずっと一緒だよ!!絶対に離さないから!!」
私は今まででいちばんの笑顔で「うん!!」と言った。