Lawrence Older
(1912-1982)
【フェアへ行く】
先日ここにあげた、
こちらの歌。
Lawrence Older『Flim-a-Lim-a-Lee』(1964)
この歌を歌っている
ローレンス・オールダーは、
木こり。なのだそうです。
彼のお父さんも木こりでした。
ローレンスの歌う歌は、
家族から教えてもらったり。
あとは、
木こり仲間から聴いたりした
ものなのだそうです。
ローレンス自身は、
ニューヨーク州
アディロンダック(Adirondacks)の
南部にある町、
ミドル・グローヴで
生まれましたが。
彼の家族は、
18世紀にイングランドから
渡ってきた移民でした。
こちらのサイト↓に、
彼のドキュメンタリー映像があり。
そこに出てくる写真から、
当時の雰囲気を感じられます
これを見ていたら。
ダラムの鉛鉱夫、
マーク・アンダーソンを
思い出しました。
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それからこちらの歌。
Jennie Gray『The Cambric Shirt』(1961)
“Say, young man, are you going to the fair?
Fum a lum a lye fum a lye lo lee
And if you see my true love there,
Timmy hiddle-o a diddle-o, fum a dum a diddle-o
Fum a lum a lye fum a lye lo lee.
“Tell her to make me a cambric shirt
Without a stitch of needle work.
“Tell her to wash it in a dry well
Where never a drop of water fell.
“Tell her to hang it to dry on a thorn
That never had a thorn since Adam was born.”
“Say, young lady, are you going to the fair?
And if you see my true love there,
“Tell him to buy me an acre of land
Between salt water and sea sand.
“Tell him to plow it with a ram’s horn
And seed it down with a peck of corn.
“Tell him to cut it with a peacock’s feather,
And bind it up with the sting of an adder.
“Haul it in on the back of a snail
And thrash it out with a mouse’s tail.
“Tell this fool when he’s done with his work
To come and get his cambric shirt.”
この歌は、
メイン州のエディントン在住の
ジェニー・グレイ(1888年生まれ)
によって歌われたものを、
彼女の娘である
イヴリン・ハッキンス
(Evelyn Huckins)が、
1961年に
録音したものだそうです。
この歌でもニューヨークの
ローレンス・オールダーの歌と
同じような、
「意味不明」なリフレインが
使われています。
そして、
「Tell this fool」
・・・という、
ヴァージョンJと同じような言葉も
入っていました。
この動画の説明欄には。
動画の製作者の知る限り、
このリフレインはアメリカの、
特にニューイングランドに
限定されている。とのことで。
この形式を持つ歌の
メロディーは、
スコットランドの
「Blow, blow, blow winds blow」の
メロディーと関係があると
結論付けている。
・・・と書かれていました。
バートランドさんが、
なぜそんな結論に至ったのかは
書かれていませんでしたし、
私も調べていないので、
ちょっとよく解りません。
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ローレンスとジェニーの
歌には。
もうひとつ、
共通点がありました。
それは。
「Fair」
・・・という言葉が
出てきているところです。
ローレンスの歌では最初に、
「Where are you going?
I am going to the fair.
(リフレイン)
If to see my girl,
tell her I'll be there.」
・・・と言っています。
意味は。
「どこに行くんだい?
僕は市に行くところでね。
もし僕の彼女に会ったら、
僕は市にいるからって
伝えておいて」
・・・です
ジェニーの歌は。
「Say, young man,
are you going to the fair?
(リフレイン)
And if you see my true love there」
「ねえ、そこの若い人。
市に行くの?
もしそこで、
私の真に愛する人に会ったら・・・」
・・・です。
両方とも、
「fair」と「there」で
韻を踏んでいますね。
そしてイギリスでは、
「Scarborough fair」とか
「Whittingham fair」と、
特定のフェアに
限定されていましたが。
アメリカ・ヴァージョンは、
「the fair」で。
どことは名言していません。
このアメリカ版フェアと、
イギリス版フェアは。
どちらが元祖に
なるのでしょうね?
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個人的には。
スコットランドの旅人が
歌っていた『妖精の騎士』の中に
出てきていた、
「fair maid」
・・・という言葉が
ひっかかっていました。
「fair」には、
「美しい」とか「麗しい」とか
「最愛の」という意味は
あるようですが。
この言葉遣いは、
結構、古めかしい言い回し
でもあるようなので。
古くは、
「麗しい」という意味で
使われていた「fair」という
言葉の響きは。
陽気な新大陸では、
「市」という意味のほうが優勢で。
だから、その言葉は
勘違いされ。
「市場に行くのかい?」
・・・なんて歌詞が生み出され。
それが逆輸入で
イギリスに戻り。
「Scarborough Fair」や
「Whittingham Fair」となった。
・・・という気が
したのですけれども
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【スカボロー・フェア聴き比べ】
イギリスのミュージシャン。
「Bellowhead」という
フォーク・バンドの
リード・シンガーだそうです。
John Boden 『Scarborough Fair』(2011)
イギリスのソプラノ歌手。
歌い方が
クラシックの人じゃない
感じがしたので、
「?」
・・・となったのですが。
彼女も、
クロスオーバー系の人でした
オーストラリアの人で、
クラシック・ギターを弾く人。
彼のギターのアルバムは、
イギリスのチャートでは
トップ入りしているのだとか。
Laura Wright & Craig Ogden
『Traditional : Scarborough Fair』(2011)
この人のことは、
調べてもよく解らず
すごく今どきな感じがした
『スカボロー・フェア』
ジャズ系かな?
Kristina Morales 『Scarborough Fair』(2011)