『アバロンにおけるアーサー王最後の眠り』

(詳細)

エドワード・バーン=ジョーンズ

(1898年)

 

 

 

【スカボロー・フェアの歌詞】

 

 

ここからは少し、

この歌の「歌詞」について

見ていこうと思いますにっこり

 

 

最初は。

日本語のウィキのページに
載っていた歌詞から。


Scarborough Fair


BOTH(男女ふたり)

Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Remember me to one who lives there,
For she once was a true love of mine.

スカボローの市へ
行くのですか?

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

そこに住むある人に
よろしくお伝えください。

彼女はかつて、
私が真に愛した人でした。



MAN(男性)

Tell her to make me a cambric shirt,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Without no seam nor fine needlework,
And then she'll be a true love of mine.

キャンブリックのシャツを作ってと
彼女に伝えてください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

縫い目がないように、
そして針も使わないで。と。

そうすれば、その時は。
彼女は私の本当の恋人に
なるでしょう。

Tell her to wash it in yonder dry well,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Which never sprung water nor rain ever fell,
And then she'll be a true love of mine.

彼女にそのシャツを、
涸れた井戸で洗って。と。
伝えてください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

水も湧かなければ
雨も降った事がない井戸でね。

そうすれば、その時は。
彼女は私の本当の恋人に
なるんだ。

Tell her to dry it on yonder thorn,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Which never bore blossom since Adam was born,
And then she'll be a true love of mine.

あそこの茨の上で、
それを乾かすようにと。

彼女に伝えてください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

アダムが生まれて以来、
花が咲かなくなった茨の上で。

それをすれば。
彼女は私の本当の恋人になる。

Ask her to do me this courtesy,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
And ask for a like favour from me,
And then she'll be a true love of mine.

私のために。
この努めを果たしてほしい。と。

彼女に頼んでください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。。。

そして。
私にも、同じような願い事を
するようにと。

そうすれば、その時は。
彼女は私の、本当の恋人に
なるでしょう。


BOTH(男女ふたり)

Have you been to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Remember me from one who lives there,
For he once was a true love of mine.

スカボローの市へ
行ったことがありますか?

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

そこに住むある人に

よろしく伝えてください。

彼はかつて、
私が真に愛した人だったのです。


WOMAN(女性)

Ask him to find me an acre of land,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Between the salt water and the sea strand,
For then he'll be a true love of mine.

私のために、

1エーカーの土地を見つけて。と。
彼に頼んでください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

海水と海岸の間にある土地を。

そうすれば、その時は。
彼は私の、本当の恋人になるのです。

Ask him to plough it with a sheep's horn,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
And sow it all over with one peppercorn,
For then he'll be a true love of mine.

羊の角でそこを耕すようにと、
彼に頼んでください。

パセリ、セージ、ローズマリー
そして、タイム。

それから、その土地一面に、
一粒のコショウの実を蒔いて。と。

そうすれば、その時は。
彼は私の本当の恋人になるの。

Ask him to reap it with a sickle of leather,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
And gather it up with a rope made of heather,
For then he'll be a true love of mine.

革の鎌でそれを刈るようにと、
彼に頼んでください。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

そうしたらそれを。
ヒースのロープでまとめてと、
頼んで。

それをすれば、
彼は私の本当の恋人になるわ。

When he has done and finished his work,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Ask him to come for his cambric shirt,
For then he'll be a true love of mine.

彼がその仕事を
終わらせたら。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

キャンブリックのシャツを
取りに来るようにと、
言って下さい。

そのときは。
彼は、私の本当の恋人に
なるでしょう。


BOTH(男女ふたり)

If you say that you can't, then I shall reply,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Oh, Let me know that at least you will try,
Or you'll never be a true love of mine.

もしあなたが。
出来ないと言ったら。

私は。
こう返事をしないと。

パセリ、セージ、ローズマリー、
そして、タイム。

ああ、せめてやってみるとだけでも、
言って下さい。

そうしなければ。

あなたは決して、
私の本当の恋人には
なれないのだから。



*******


和訳は。
自分でやってみましたにっこり

 

これは。

 

個人的な意見ですが。

 

「詩」

 

・・・に関しては、

翻訳されたものではなく。

 

「原文」

 

・・・にあたるのが

一番だと思います。

 

 

なぜなら。

 

そこから何か、

 

「風」

 

・・・が吹いてくるからですおやすみ

 

 

*******

 

 

「Scarborough Fair」

 

・・・の「Fair」は。

 

「市」

 

・・・という意味でした。

 

 

その「市」についてを、

少し調べてみました。

 

 

 

 

様々な娯楽や

商業的活動のために、

 

人々が集まる催し。

 

通常、フェアは、一時的に

実施される行事であり、

 

特定の1日の午後だけと

いったものから、

 

数週間程度の期間に

呼ぶものまでが含まれる。

 

 

・・・とのこと。

 

 

古代のユダヤでは。

 

ユダヤ教のラビたちは、

教えに背くという理由で、

 

特定の町のフェアに行くことが

禁止されていたのだとか。

 

 

中世のヨーロッパでは、

フェアはキリスト教の行事と

結びつけて開催されることが

常だった。

 

・・・とのことですが。

 

 

そう言われてみると。

 

ヘンリー2世の時に始まった

スカボローのフェアも。

 

聖母被昇天の日から、

ミカエルマスの日までの

開催でしたっけねおやすみ

 

 

*******

 

 

「fair」の古風な綴りは、

 

「faire」や「fayre」

 

・・・だそうです。

 

 

この「fair」という

「綴り」とその「音」で。

 

私は「妖精」を。

 

つまり、

 

「fairy」(フェアリー)

 

・・・を連想してしまいました。

 

 

そしてそこに何か、

繋がりはあったりしないのか?うーん

 

・・・と。

 

その語源などを見てみました。

 

 

 

 

 

上のサイトから、

少し抜粋すると。

 

 

古英語の fæger は、

 

「視覚に訴える

(人や身体の特徴、または物、場所など)

 

 美しい、ハンサム、魅力的

 

を意味し、

 

天候については

 

明るい、晴れた、快適; 雨が降らない」

 

を意味します。

 

また、後期古英語では

 

道徳的に良い

 

という意味もありました。

 

 

これ↑は、

「形容詞」としての説明で。

 

スカボロー・フェアのように

「名詞」として使われている

場合は。

 

 

14世紀初頭に遡り、

 

アングロフレンチのfeyre(13世紀後半)、

古フランス語のfeirefaire「市場;祭日」

 

という言葉から来ています。

 

これは、バルカン・ラテン語の

*feria「祝日、市の祭り」から派生し、

 

ラテン語の

 

feriae宗教的な祭り、休日

 

と関連しており、

 

厳か、祝祭的、喜びに満ちた

 

という意味のラテン語

 

festusfeast

 

に由来します。

 

 

・・・となるようです。

 

 

*******

 

 

「fairy(妖精)」に

関しては。

 

 

 

 

c. 1300年ごろから使われている

fairieという言葉は、

 

自然の力を持った

伝説の生き物が住む国;

妖精の国

 

という意味で使われ、

 

信じがたいこと」や

架空のもの

 

という意味もあります。

 

これは12世紀の

古フランス語faerie

 

妖精たちの地、妖精たちの集い;

魔法、魔術、呪術

 

から来ていて、

 

その中のfaeは「妖精(fay)」、

 

これはラテン語のfata

 

運命の女神たちthe Fates)」

 

の複数形、

 

そして

 

fatum運命、定め

 

から来ています。

 

 

14世紀末から、fairy

超自然的な存在として

使われはじめました

 

 

中世のfairie knight妖精騎士

 

という言葉から発展している

かもしれません。

 

 

・・・とのことです。

 

 

*******

 

 

「fay」という言葉も。

 

「妖精」を表す言葉です。

 

 

 

 

「fay」と聞いて。

 

「モルガン・ル・フェ」

 

・・・を思い出しましたにっこり

 

 

 

 

彼女は。

 

「魔女」と言われることが

多いのですが。

 

もともとは、

 

「妖精」

 

・・・なのですおやすみ

 

 

彼女は。

 

15世紀に書かれた

騎士トマス・マロリーによる、

 

『アーサー王の死』

 

・・・の中で、

 

アーサーの異父姉として、

「魔女」という役に変更されて

しまったようですぐすん

 

 

今に伝わっている

アーサー王伝説の中で、

 

一番知名度が高いものは。

 

おそらくこの、

トマス・マロリー版だと

思うので。

 

モルガン・ル・フェの

イメージもまた。

 

妖精というよりも、

魔女。

 

・・・というほうが、

強くなってしまっているのかも

しれませんぐすん

 

 

ちなみに。

 

アーサー王に関する

映画の中では。

 

私の中ではこの映画が、

ピカイチですニコニコ

 

 

 

 

 

 

この中では、

 

モルガン・ル・フェと、

また別の異父姉である

 

モルゴース

 

・・・が。

 

ごちゃまぜになって

描かれていましたが。

 

 

*******

 

 

『スカボロー・フェア』の

歌詞の中には。

 

たくさんの「無理難題」が

出てきます。

 

 

そのひとつに。

 

「Without no seam nor fine needlework」

 

・・・というものがあります。

 

 

ここでは、
 

「針を使わずに

縫い目のないシャツを作れ」

 

・・・と言っているのです。

 

 

「needlework」という言葉には

「刺繍」という意味もあり。

 

その言葉の前に

「fine」という言葉も

入っていることから。

 

「綺麗な刺繍もなし」と訳しても

いいような気がします。

 

 

でもここで重要なことは。

 

「針を一切使うな」

 

・・・ということだと

思ったのです。

 

 

これはひいては。

 

「鉄を避けろ」

 

・・・ということに

繋がるような気がしたからです。

 

 

「Ask him to reap it with a sickle of leather,」

 

「皮の鎌」で刈り取れ。

 

・・・とも言っていますしおやすみ

 

 

こういうところからも。

 

先ほどの「妖精」が、

浮かび上がってくるのです。

 

 

*******

 

 

ブリテン島では昔から。

 

「妖精は鉄を嫌う」とか。

 

「妖精が鉄を触ると

消えてしまう」とか。

 

そんな言い伝えが

あったそうです。

 

 

それは、古の時代。

 

この島に住んでいた

民族が。

 

鉄器を持った侵入者

(おそらくケルト民族)に

 

侵略されてしまった記憶に

基づく伝承だと聞きました。

 

 

そしてアイルランドでも。

 

あの島に古くから

住んでいた、

 

トゥアハ・デ・ダナーン

 

・・・という神族が、

ミレー族に島を追い出された

という伝説があり。

 

一説によると、

このミレー族がケルト民族

だったとも言われている

ようですが。

 

ミレー族に島を

追い出された神々は。

 

次第に人々から

忘れられていき。

 

その身体も、

だんだんと小さくなり。

 

そして彼らは、

「妖精」となった。

 

・・・と、

伝えられていました。

 

 

このアイルランドの伝説や、

ブリテン島に伝わる伝説は。

 

なんらかの歴史を

象徴的に物語っているのかも

しれなくて。

 

そういう伝承の匂いが

かすかに。

 

スカボロー・フェアのような。

 

こういった

「バラッド」の中に。

 

隠されているのかも

しれませんおやすみ

 

 

*******

 

 

【ちょっと横道】

 

「Fair」で。

 

My Fair Lady

 

・・・を、思い出しましたニコニコ

 

「私の麗しの人」

 

 

歌は元祖の、

ジュリー・アンドリュース版でおやすみ

 

Julie Andrews 『I Could Have Danced All Night』