【マッコールのスカボロー・フェアの旋律】

 

 

 

 

フランク・キッドソンの
Traditional Tunes (1891) には
2種類の『スカボロー・フェア』の
楽譜が収録されているが、
いずれも現在良く知られている
ものとは全く異なる陽気で
ユーモラスなメロディである。

サイモン&ガーファンクルの演奏などで
有名な『スカボロー・フェア』のメロディは、
イワン・マッコールとペギー・シーガーによる
The Singing Island (1960) に
収録されているものに由来する。

これは1947年に「ヨークシャーの
ミドルトン・イン・ティーズデールの
元鉛鉱夫のマーク・アンダーソン」(P.109)
から教わったものだとされる。

しかしその歌詞は僅かな変更を
除いてはキッドソン版を丸ごと
借用している。

 

 

ウィキによると、

 

ミドルトン・イン・ティーズデール

という町は、

 

ヨークシャーにあるとの

ことでしたが。

 

調べてみたらその町は、

現在は。

 

カウンティ・ダラム

 

・・・の中に含まれているようです。

 

 

*******

 

 

フランク・キッドソンは、

 

1885年に、

イギリスの西ヨークシャーの町、

リーズで生まれました。

 

 

彼は、

イギリスの民謡の収集家で、

音楽の研究者でした。

 

 

フランク・キッドソン

(1855-1926)

 

 

 

 

 

Kidson, Traditional Tunes (1891) pp.42-44 (Version a)

 

Kidson, Traditional Tunes (1891) p.172 

(Version b)

 

 

 

イワン・マッコールの旋律のソースは、
元鉛鉱夫のマーク・アンダーソンで。

マッコールは1947年に、
マークからこの歌を教えてもらい。

その後、それを歌本の中に
収めたのだそうですが。

 

 

Seeger & MacColl, Singing Island (1960) p.26

 

 

では、

そのマークは。

 

この歌をどこから教わったのか。


・・・というのは不明です。


けれどもそのソースが、
「伝統的なもの」であることは、
確かなようで。

おそらく。


その地域で古くから
歌われていたものである
のだろうと。


マーク・アンダーソンが、
この『スカボロー・フェア』を
歌ったものは、

 

録音として残されることは
なかったようですが。

そのマークが、

The Famer's Boy』という

他の民謡を歌っているものが、

 

アラン・ローマックスによって、
録音されていました。

 

 

アラン・ローマックス

(1915-2002)

 

 

アランは、

アメリカ人です。

 

 

 

 

 

こちらのページ↓で、

マークのその歌が聴けます。

1951年4月20日の録音。

 

 



マーク・アンダーソンは、

 

こちら↓の写真の、
 

一番上の段。
左から三番目。

 

 

 

 

Mark Anderson (1874-1953)

※画像はこちらのサイトより※

 

 

*******


サイモン&ガーファンクルの
『スカボロー・フェア』は、
マーティン・カーシーから。

マーティン・カーシーは、
イワン・マッコールから。

イワン・マッコールは、
マーク・アンダーソンから。

マーク・アンダーソンは、
古くから地元に伝わる歌から。

・・・と。

 

 

この歌は。

そうやって次々と、

伝わってきたようで。


地元民が何気なく歌う
伝統的な民謡が。

イワン・マッコールや
マーティン・カーシーらによる、
民謡復興運動により
掘り起こされ。

サイモン&ガーファンクルによって、

世界中に広められ。

今や。

誰でも知っている、
ポピュラーソングへと。


そういう大きな流れの中。

小さな支流もたくさんあって。


イワン・マッコールが、
1960年にあの歌本を
出すよりも数年前の、

1956年に。

English Folk Songs』という
アルバムを出した
女性シンガーがいたそうです。



彼女のそのアルバムの中に、
収録されていた
Scarborough Fair』は。

のちのマッコールが発表した
あの旋律とほぼ、同じです。


なので。

この旋律が

レコーディングされて
世に出たのは、

どうやら彼女のその歌が、
実は「お初」のようです。

 

イギリス人の
「オードリー・コッパード」
という歌手です。


彼女の情報はあまりに少なく、

 

なので、
ほとんど詳細が分からず。


彼女のこの歌のソースが
どこからだったのか。

・・・というのも、

不明らしいです。


オードリー・コッパードが歌う

「スカボロー・フェア」の旋律は。

 

彼女自身の創作。

・・・という線を、

100%否定することは

出来ませんが。


このアルバムのタイトルや、
マーク・アンダーソンの例を
考えれば。

その線は、薄そうで。


やはり。

昔からその地に伝わってきた、
伝統的な旋律。

 

・・・と考えたほうが。

しっくりくるような

気がしますおやすみ



Audrey Coppard 『Scarborough Fair』 (1956)

 

 

English Folk Songs』 Audrey Coppard 

Audrey Coppard sings a collection
of 14 traditional English songs,
ballads, carols, riddle songs,
and London “street cries.”

Coppard’s song selections
are a reflection of her interest
in her native English culture
and are from widely scattered counties
in the British Isles.

She is accompanied on eight songs
by guitarist American Lesley Davidson.

The best-known track on this album
is “Scarborough Fair,”
a traditional folk song from Yorkshire
that has been covered
by many other performers,
most notably the American folk-rock duo
of Paul Simon and Art Garfunkel.

Liner notes include brief
background information
on each song and song lyrics.