現在、中学校3年 数学科の『2章 平方根』において、“自分なりの自由進度学習”を実践しています。

今回は、その内容を紹介します。

 

1.実践するにあたって

個別最適化の1つの方法として、自由進度学習はあるかと思っています。

多様な生徒の学力状況がある中で、全員にとってそれぞれのペースで学習を積み上げるには、自由進度学習は最適ではないかと考えました。

そこで、自由進度学習を実践してみることにしました。

 

まずは、自由進度学習についての本を2冊読みました。

●『教科の一人学び「自由進度学習」の考え方・進め方/小山儀秋監修・竹内淑子著(黎明書房)』

●『子どもが自ら学び出す! 自由進度学習のはじめかた/蓑手章吾著(学陽書房)』

 

ただ、そのままやってもうまくいく自信がなかったので、エッセンスをいただきながら“自分なりの自由進度学習”をすることにしました。

 

 

2.1時間の流れ

上記のように、4つのパーツに分けて毎回の授業を構成しています。

だいたいの時間配分は、復習テスト10分、考えよう10分、自由進度学習25分、振り返り5分です。

 

まずは、中学3年間の内容からの復習です。

受験生なので、今までの復習も大切にしています。

やり方は、以下です。

 

まず、類題プリント(解答付き)を5分間で取り組ませます。

これは、あくまで次の復習テストのための準備です。

というのも、復習テストに出題される問題とよく似た問題が、類題プリントに出題されているからです。

この類題プリントに取り組む5分間は、教え合いオッケー、質問オッケーです。

 

そして、復習テストを5分間で取り組ませます。

類題プリントで、よく似た問題にチャレンジしているので、低学力層も取り組むことができます。

この、類題プリントと復習テストのセットを毎回授業始めにするようにしています。

 

ちなみに、本校は1人1台端末としてChromebookが採用されています。

Google for education、ロイロノート、まなびポケットが使える環境にあります。

なので、類題プリントも復習テストもロイロノートで配布をしています。

生徒は、“Chromebookに表示された問題を見ながら、ノートに解く”というのが主流のスタイルです。

 

 

続いて、『考えよう』です。

このパーツは、毎回趣向を凝らしていろいろな事をしています。

問題集を5分間で時間の限り解かせるときもあります。

僕の話(例えば、黄金比)を聞いてレポート(感想)を書かせるときもあります。

上記のような2つの問題を考えさるときもあります。

 

何はともあれ、いろいろな形を使って、“深まる”ことを目指しているパーツです。

 

 

いよいよ、自由進度学習です。

20~25分間自由です。

プリントをノートに解くのが課題です。

 

まず、はじめての1回目。

以下のようなプリントを配布して説明しました。

●自由進度学習を始めること

●課題はプリントをノートに解くこと

●態度目標を意識してほしいこと

●困る子のために、説明動画を用意していること

●授業の最後にふりかえり(右ページ)をかくこと

です。

 

プリントは全部で13枚。

プリントの構成は、どれも『例→問→例→問』のシンプルなものにしています。

裏面には解答を印刷しています。

(これまた、ロイロノートで配布もしています。

だから、生徒は、Chromebookかプリントを見ながら授業に取り組んでいます。)

 

ロイロノートを使って、説明動画を見れるようにもしました。

1枚のプリントにつき5分以内の説明動画を、事前に撮影しました。

(放課後の静かになった教室で、何日かにわけて撮影しました汗)

 

説明動画は、「見なければいけないもの」ではなくて、「見てもいいもの」という扱いです。

生徒達は自由に見れるので、困ったときに僕の説明を見れる仕組みです。

 

また、上記のようなカードをロイロノートで作成しました。

これは、フラッシュカードのイメージで復習ができる『復習フラッシュカード』です。

これも、生徒は自由に閲覧ができます。

「毎回の自由進度学習のはじめに、復習として使う方法もあるよ」と、伝えています。

 

一休さん問題は、自由進度学習も回を重ねて後半を迎えるようになってから準備しました。

毎回、1問ずつ平方根が関係するおもしろそうな問題を紹介しています。

 

 

最後に、ふりかえりです。

毎回、同じプリントにふりかえりを書かせています。

 

また、Googleフォームを使って、平方根の『?』を募集しています。

授業の中で困ったことやわからなかったこと、疑問に思った事などを書かせています。

(書きたい生徒だけ。)

 

この集まった『?』は、次の授業以降にいかしています。

例えば、単純にわからないという質問には、個別で説明をしに行きます。

また、「日常のどこに平方根がありますか」のような、他の生徒にも考えてほしいネタは次の時間に全体で紹介します。

 

 

3.やってみて

自由進度学習は、「こんなにうまくいくと思ってなかった」と言えるほど、生徒が活発に活動をしています。

 

うまくいったと思う理由は3つです。

●説明動画を用意したこと

実は、説明動画を用意できるようになったから、自由進度学習をする事に決めました。

1年前は、プリントだけを並べて自由進度学習風に授業展開をしました。

ただ、僕がまったく授業で説明をしなかったので、わからない生徒はどうすることもできませんでした。

(だから、途中で切り替えて説明をするようになっちゃいました・・・)

低学力層にはどうしても説明が必要な時があります。

それを解決してくれたのが説明動画でした。

 

●態度目標を入れ込んだこと

内容目標だけでなく、『取り組む・しゃべる・質問する・説明する・動く・協力する・貢献する』という態度目標を入れ込みました。

この参考文献は、『アクティブラーニング入門 (アクティブラーニングが授業と生徒を変える)/小林昭文著(産業能率大学出版部)』です。

小林先生が実践されていたものを、そのまま使わせてもらいました。

「態度目標も意識しようね」という言葉がけと、毎回の授業終わりのふりかえりで意識せざるをえない状況を作りました。

見事にハマって、生徒達は協力しています。

 

●人に説明する練習をさせていたこと

生徒は、友だちに教える事の楽しさ、教えてもらう事のありがたさを確実に感じています。

これも、仕掛けを事前に作っていました。

コロナ禍で、クラスの仲間との交流が遮断される授業が展開されてきました。

だから、「教える教えられる共に学ぶ」という感覚が不足していました。

そこで、「ペアで説明する」「教える」というパーツを、4月以降何度も入れるようにしました。

(当然、感染症対策をしながら)

目的は、『教える事の楽しさ、教えてもらう事のありがたさ』を感じさせることです。

また、僕がする短い説明をマネさせるパーツも組み込んできました。

それによって、少しはわかりやすい説明の仕方を伝授できていたのかもしれません。

 

 

以下は、6回目のときにアンケートを書かせたものの一部です。

 

なにぶん好評すぎるので恐いくらいですが、テストの結果を見て、今後どうするかを考えていこうと思っています。

 

 

以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。