「もう無理~!」「できない~!」などと叫びながら分娩台に上った後、いきみはまさに最高潮になり、助産師さんや女医さんの指導を受けながらもうなすがままになっていた。

「うまいよ!もう1回~」
ってのを3回くらい聞いたような気がする。
その後、
「頭見えてるよ。次で産もう」
と言われ、まったく実感はなかったがとりあえず渾身の力を振り絞って押し出した。


「あ、きたきた。あ~、赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いてて、心音下がってるから、切開して早く出そう」
女医さんのその言葉で、わたしはやむなく会陰を切開することになった。

多くの人同様、わたしもなるべくならしたくないと思っていた切開。だけどこのときは正直、「とっとと切ってくれ~!早く取り出してくれ~!」と願った。

切開の感想は・・・麻酔したせいか何も分からない。

「じゃ、もう1回、これで産もう」
てなわけで最後の力を振り絞って精一杯いきむ。

するとぬるりと何かが出てくる感覚があって、ちょっとしたらそれが「オギャーオギャー」と泣きだした。

「赤ちゃん?赤ちゃん?!」
今思えばアホなわたしの言葉に助産師さんはわざわざ「そうだよ~」と答えてくれ、早速カンガルーケアで産まれたての赤ん坊をわたしの胸の上に置いてくださった。

赤ちゃんはわたしの上でぎゃんぎゃん泣いている。元気いっぱい。
温かい肌の感触、生き物の感触。

この時のわたしの感想は、「本当に赤ん坊が入っていたんだ…」というもの。

エコーなどでは確認していたが、自分の中から本当に赤ちゃんが出てきた!ということに正直驚いていた。

いろいろな検査の後、また脇に戻ってきた赤ん坊を見ても、なんだか信じられない気持ちでいっぱいだった。

赤ちゃんは、産まれたばかりなのに顔つきが整っていてちゃんと人間らしい顔をしている。

「おっぱいくわえさせてみたら?」
という助産師さんの言葉を受け、乳首を赤ん坊の口元に近づけると、早速「パクッ」とくわえだした。

「すご~い!」
産まれたばかりなのに分かるんだね…。

そのまま初乳を飲ませ、2時間ほど分娩室で赤ん坊を抱いて過ごした。

ちなみにバースプランに書いていたとおりに胎盤も見せてもらったのだが、生のレバーそのものって感じで、大きさは食パン1枚よりひとまわり大きいくらい?なんだか感動だった。

出産直後、助産師さんに「どうだった?」と改めて聞かれ、
「もう絶対産みたくないです」
と答えたのは正直な気持ち。それくらい陣痛は痛かった。

だけど3週間ほど経ってみて・・・
もうすでにあのときの痛みを忘れかけている。

こうやって痛みは忘れるようになっていて、またみんな子どもを作ろうという気になるんだろうなぁ~。


Baby
産まれたばっかり。超カワイイ。