実は私、子どもは長男1人だけにするつもりでした。

長男を出産した翌日にダウン症を含む障害を持った赤ちゃんが産まれました。

その産院では、新生児室にいる赤ちゃんが泣くタイミングで母親が呼び出され、新生児室隣の授乳室でおっぱいをあげることになっていました。
私も夜中に何度か授乳室に足を運びましたが、その度その赤ちゃんのお母さんが新生児室で看護師さん相手に辛い胸の内を吐き出し、泣いている声を耳にしました。
そのお母さんは障害児を産んだ悲しさよりも、ご主人の反応に深く傷ついていらっしゃいました。
ご主人もいきなり現実を受け入れることはできなかったのでしょうが、ショックを受ける産後間もない奥さんに思いやりある言葉をかけるどころか、自分たちが障害児を持つことで親兄弟に顔向けができないとおっしゃったそうです。

そんな誰にも聞かれたくないであろう深刻な話が深夜の静かな授乳室にいる私に、内容の細部までしっかり聞こえてきました。

私は、高校時代学校のクラブ活動の一環としてボランティア活動をしていました。
学校の近くに療育園があったので、週に一度園のお手伝いをし、障害のある子ども達と関わってきました。

なので、もちろん確率は高くなくとも、障害児を出産することがまるきり他人事ではないということを普通の人よりは認識していたと思います。
でも、障害児を産んだお母さんを目の当たりにし、私には何の覚悟もなかったことを思い知らされました。

これが現実なんだ…家庭崩壊にも繋がってしまうんだ…

ショックでした。

二人目はやめておこう…
そう思いました。
神様から試されている、そんな気がしてなりませんでした。

障害児を出産すると家族さえも離れていくかもしれない。誰も助けてくれないかもしれない。それでもあなたは二人目が欲しいですか?

そう問われてるような気がして、次の子は障害児であることを予感せざるを得ませんでした。
だから、やめておこうそう決めました。

ところが、長男があまりに可愛くて、いつしかそんな恐怖も忘れてしまいました。そして気づけば二人目を望んでいました。


続きます。