さすがにあれ以来、
あの女から家に電話がくることはありませんでした。
私の勤務先も知っているというので、
職場に電話がこないだろうか。
職場に直接来ないだろうか。
不安は消えませんでした。
マサキには、電話やメールが鳴りやまないようです。
「騙された」と、ずっと言っているけど、
騙されたのは、私じゃないの?
あんたは、騙されたんじゃなくて、
騙した側の人間なんだよ。
被害者ヅラすんな。
被害者は私だけ。
あの女は相変わらず、マサキに連絡をしてくる。
何をしでかすかわからないから、
邪険に扱わないように、マサキに言ってあるので、
渋々、相手にしているようだ。
自分の夫に不倫をしていた事を話したと言っている。
そして、
夫と離婚すると言っている。
そっちは離婚するの?と聞いてくるそうだ。
全くもって、あの女の考えている事がわからない。
マサキと別れた今。
今さら、不倫をしていた話を自分の夫にしてみて、
どうだというのか?
そんな話をしたかと思えば、
離婚してから、どうやって一人で暮らして行ったらいい?
と、相談してきたり。
どうして騙したんだ?と、
怒り狂ったり。
コロコロ変わって、コワイし、ウザいと
私に言ってくるマサキ。
この手の女は、逆上させてはいけないと思うので、
注意するようにマサキに助言をする私。
何なんだ、この状況は。
「どうしてあんなこと、言ったの?」
と、どうして口説いてきたのか、
メールで聞いてくるらしい。
逆上させるな、と私に言われているマサキは、
私に「何て返信したらいい?」と聞いてくるんだが。
そんな事を
された側の人間に聞いてくる神経を疑いながらも
私とマサキの現状が、
「私たち対あの女」になっているんだな、実感する。
「あの時は本気だった。
だけど、どうかしていたんだ。ごめん」
と、返信させた。
あの女は、納得できたようだった。
よかったね。