結婚というから、
結婚する人の話かと思ったら、
結婚しない人の話だった。
結婚詐欺師と騙される人の話。

短編が連なって1つの物語になっていて、
騙された人が詐欺師と、
それぞれどんな恋愛をしたかが綴られる。

巧みに騙すというより、
どこにでも転がっている彼氏と彼女の話で
ほんわかしてるのだが、
金銭を巧みに要求され、
それぞれの女性が
彼と連絡が取れなくなってゆく

詐欺師側と詐欺師の妻、
詐欺師を操っているように見える女性の
想いも明かされている。
その女性にも、ものすごく哀しい想いがあって、その女性の別れた旦那さんも出てくる。
その人の想いが一番切なくて、
るり子、ばっかだなー
あんないい人捨てて、
一緒になったはずの相手を結婚詐欺師に
なんかしちゃって、
ほんと馬鹿だなー
あのままいけば、幸せだったのに
と思えて、哀しい。

人間て、哀しいね
女って、哀しいね

そう思うと切ない。


痛快な騙し騙されストーリー
とかじゃ全くなくて、
それぞれの想いが綴られた作品。

ただ、人を愛し、安心したい。
恋をしてそれを続けてゆきたい。

やっと認められた幸せ
女として花開いた幸せ

そういう心が綴られてゆく。

すごく哀しい。
詐欺師自身も、
なんだか可愛いところがあって
それが哀しい。

物語を進めるにあたって、
ちょっとした探偵のように、探ってゆく役の人が出てくるのだが、
そこがもっと緻密に描かれていてもいいかも
と思った。
それで、もっと長い話になっても
面白かったかなあと。

だって、鳩子の結末って・・・
ちょっとサスペンス。



これは、井上荒野の父、井上光晴が書いた
同じ題名のオマージュなんだそうだ。
そっちも読んでみたいなあ。
へー、調べたら映画化もされているらしい。

とにかくすごく良かった。
好き好き、こういう作品すごく好き。