私の歌の師匠、平野忠彦先生メモリアルコンサートに出演させていただきました。懐かしい先輩・後輩のみなさんとお会いできて、一瞬で大学時代に時が戻りました。
私がミュージカルを目指すようになったきっかけの一つに、平野先生がご出演されていた「アニー」を観劇した事があります。
平野先生は当時、日中は大学でレッスン、その後アニーの本番に向かうという信じられないスケジュールをされていました。「舞台裏を見せてあげるから見学に来なさい」と先生が仰ってくださり、何度も青山劇場に通いました。楽屋では舞台に立つ者としての心構えや、稽古中・本番中にあった話など、色々な事をお話ししてくださいました。レッスン中でも、楽屋でも、先生が私達学生を良く連れて行ってくださったレストランでも、私は先生のお話しを聞くのが大好きでした。
今は随分変わったと思いますが、私が学生の頃は「ミュージカルなんて邪道だ」といった風潮があり、声楽を勉強する者がミュージカル役者を目指すのはあまり良い事とされていない雰囲気でした。
そんな中、卒業後の進路の事で先生とお話しをした時、思い切って「劇団四季のオーディションを受けたい」という希望をお伝えしました。すると先生は「おお！そうかそうか！いいじゃないか！頑張りなさい！」と背中を押して下さいました。
今、舞台に立てるのは、先生のお陰です。
昨日のコンサートの最後に、奥様の平野民子先生がご挨拶され「主人は音楽の中に生きています」と仰られました。本当にその通りだと思いました。私達弟子は、その音楽を引き継いでいく使命があります。それこそが1番の恩返しだと改めて思ったコンサートでした。
All I ask of you を一緒に歌った中西勝之くんと、伴奏の徳永洋明くん。
