僕がこのうちに来たのは、ただの偶然だった。


 たまたま、僕の前の飼い主がもう僕と一緒に住む事ができなくなって、ちょうど同じ頃に、ずっと前から犬と暮らしたいと思っていたゆみちゃんが願いを実行に移そうとしていた。さらにその願いを実行に移すことになったきっかけは、ただ単に、ゆみちゃんの誕生日が近かったから。

 そして、その願いを実行に移すのに拍車をかけたのは、これもたまたま、うちのママがパート先で僕の前の飼い主に相談を持ちかけられたのだ。元飼い主が本当に意図もなく相談を持ちかけたのかは、今となっては不明だが…。

 「3ヶ月前にローンを組んで24万でチワワを購入したのだけど、もう飼えなくなったのよねぇ。お宅って犬もOKなマンションだったわよね?譲りたいんだけど…」

 


 社会人として働き出して、ちょうど1年が経ち、ある程度のお金もひまもでき、月に1度しか構ってくれない彼氏の代わりに、真剣に仔犬探しをしてたゆみちゃんは、その話に手早く乗ったのだ。

 24歳の誕生日まであと1週間しかない。本当はダックスか豆柴がほしかったけれど、チワワなんて今の流行物だけど、この話、おいしいわ、と。



 かくして2005年4月18日、僕はこのうちの家族となったのでした。小屋とベッドとおしっこシート込みで、移籍金7万円。安いか高いかは僕には分からない。ただ、分かるのは、前の呼び名は「くーちゃん」で、このうちに来てからは「まめ」に変わったこと。くーちゃんって…僕もよく知らない黒ギャルアーティストにいたような…。

 

 豆太郎、満6ヶ月と13日、暖かい小春日和(だったと思う)に、この家族の一員となったのでした。