2025年10月25日読了

 

昭和を代表する未解決三大事件でセンセーショナルな事件ばかりですが、

事件の名前が先行していて詳細なことは知らなかったので、

手に取りました。

 

丁度、この作品を読み始めた頃にNHKスペシャルで

「未解決事件 松本清張と帝銀事件」「下山事件」を観たので

これはドラマを思い出しながら読めたので理解しやすかったです。

 

下山事件については概要くらいは知っていましたが、

こんな残忍な事件だったとは知りませんでした。

真実は分からないですが、下山総裁の最後があまりにも惨くて、

ここまでする必要があったのかと思う位で

とても人間がしたことだとは思いたくはない事柄でした。

当時読み上げられなかった国鉄員の言葉が本音だったのかと思うし、

戦後の混乱期だったとしてもこんなことをしてしまう時代だった

としても何だか腑に落ちないです。

それと同時にまだ記憶に新しい元安倍首相の襲撃事件も

一見落着のようになっていますが、私達が知らない世界では

何かあったのではないかと不信感や想像をしてしまいました。

 

下山事件以外の「もく星」号遭難事件、二大疑獄事件、白鳥事件、

ラストヴォロフ事件などは殆ど知らない事件で、時代背景も今と

かなり違って戦前、戦後の日本の社会背景が色濃く出ているのが

特徴的でした。

当時のGHQと共産党というのがかなり複雑に日本の

社会や政治、経済などにも影響していたというのも分かりました。

けれど戦後から既にアメリカに翻弄されていたり、

政治には賄賂が蔓延っているというのは

何十年も経っている今でも消えることなく現代にも

残っているのであまり変わらないなとも思ってしまいました。

伊藤律に関しての事件は難しすぎてよく理解出来なかったです。

 

ノンフィクションとなっていますが、

社会派である著者なのでとにかく徹底的な取材力と洞察力の凄さに圧倒されました。

ここまで詳細に取材をしながら、あらゆる視点から事件を

推理するまでに至るまでが凄いとしか良いようがない作品でした。

 

もし松本清張が今でも生きていたら、

今の日本の黒い闇の部分をどんな風に切り込んで

いたのかと思ってしまいました。

 

下巻は帝銀事件のことが書かれているので、

引き続き読みたいと思います。