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2024年9月23日読了

 

内容

念願かなって海外旅行の添乗員になった遥。

風光明媚なアイスランド、スロベニア、食べ物がおいしいパリ、北京……

異国の地でツアー参加客の特別な瞬間に寄り添い、ひとり奮闘しながら旅を続ける。

そんな仕事の醍醐味を知り始めたころ、思わぬ事態が訪れて――。
ままならない人生の転機や旅立ちを誠実な筆致で描く、ウェルメイドな連作短編集。

 

タイトルに「たまご」と書かれているので、

たまごにまつわる内容だと思いましたが、

新米海外添乗員となった遥のお仕事小説でした。

 

近藤さんの作品は好きなので何冊も読んでいますが、

その中でも「ときどき旅に出るカフェ」シリーズでは

カフェを舞台にしながらも世界の国々メニューを扱ったものだったり、

自転車ロードレースを題材にした「サクリファイス」シリーズでは

ヨーロッパを舞台にしたものだったりと

様々な作品で世界のあちことが舞台となっていることがあるので、

海外添乗員の作品であってもその国々がしっかりとリサーチされて

ツアーの内容となっているので旅気分を味わいながら読めました。

 

今回はアイスランド、クロアチア、スロベニア、

フランス、中国、沖縄をがツアーとなっていて、

特にクリアチア、スロベニアというのはあまり海外旅行という

馴染がなく、国としてもどんな所だか漠然としたものしか

浮かばなかったのでこの作品を読むと訪れてみたい気持ちになりました。

 

添乗員というのは客観的に見ていても大変な仕事だなというのは

想像がつきますが、それ以上にツアー添乗員となると海外先では

思いもしないトラブルが続出するのには驚きました。

それに対して新米添乗員の遥は右往左往しながらも、

懸命にお客さんたちに対応している奮闘ぶりが微笑ましかったです。

意外と現地の人達とトラブルが起きるのではなく、

旅行者自身のトラブルだったり悩み事だったりが

引き金になっていることもあるのだなとも思いました。

 

好きなことを仕事にする楽しさがあったとしても、

何らかのトラブルがあってそれをどう超えていったら

良いのかと思うのも仕事の辛さなのかなとも思えました。

迷いながらも、一つ一つの壁を乗り越えていこうとする

遥の心意気が何だか応援したくなり、

遥の今後の未知なる世界を読んでみたいなと思いました。

 

なかなか海外旅行に行く機会が無いので、

このような作品でまだまだ知らない国々を旅気分を

味わいながら楽しく知りたいなと思いました。