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2024年8月20日読了

 

内容

第3回斎藤茂太賞受賞! 

選考委員の椎名誠氏に「新しい旅文学の誕生」と絶賛された名作紀行文。
飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、

何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。

クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海

……「日本と逆のシステム」の風景と、

そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに

――落涙必至のベストセラー紀行文。

特別書下ろし3編「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」収録。

 

BSテレ東BS「あの本読みました」の8月2日の放送でこの本が紹介されていて、

鈴木保奈美さんが「ただの旅行記ではなない。泣ける。」と言っていたのが

気になって手に取りました。

 

オードリー若林さんが一人旅として初めてキューバ、モンゴル、アイスランド

にを訪れた旅行エッセイ。

 

読み始めはただの旅行記だと読み進めていたら、その国の歴史、

人間観察、経済などと芸人さんらしく多方面から視野を当てながら

旅が進められていてとても面白く興味深かったです。

芸人さんらしく、時々出てくるツッコミもエッセイのスパイスに

なっていて面白かったです。

 

ところがこれだけでなく、何故一人旅の行き先がキューバになったかという

理由について語り出したら、もうそこからは涙も堪えるのが必至でした。

私自身も若い頃に早くに両親を亡くしてしまったので、

若林さんが父親に対する想いが人並以上に強かったということなので、

このエッセイで自身のことを書くのは辛く悲しいことだったと感じました。

 

テレビやラジオで拝見している限りでは自虐的に自分のことを

「こっち側の人」や「極度な人見知りな人」だとばかり思って

いましたが、この一人旅を読んでいるとそれ以上に大変な

ことが多々あってこんな人だったのかと思ってしまいました。

けれどこんな人であっても、一人旅を最後まで成し遂げで

人生で大切なものを見て、感じることが出来たというのは

素晴らしくこれから人生の糧に多いになっていると思いました。

 

私は若林さんほどではないですが、時々、他人とは違った見方や

考え方、悪く言えばうがった見方や天邪鬼な見方をする方なので、

若林さんの生きずらさもよく伝わりました。

世の中にはこうやって生きている人が沢山いるんだなと

いうのもここで分かり、少し気持ちが楽になった気がしました。

殺伐としてしまった世の中になってしまいましたが、

若林さんはそのままの若林さんで良いと思い、

もう少し肩を楽にしながら進んでいって良いと思いました。

 

Creepy Nuts DJ松永さんの解説を読んでも心に打つものがあり、

この解説だけでも若林さんの伝えたかったことが全て

伝わっていると思います。

 

特に若林さんのファンでは無いですが、

今までテレビやラジオで拝見していた彼とは

また違った一面が見れてこれからは見る目が変わりそうです。

 

血の通った人間関係と自分らしくマイペースに生きていこうと

前向きになれるエッセイでした。

手元に置いてまた再読してみたいと思います。