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2024年8月14日読了

 

内容

心を病んだ恋人との生活に耐えきれず、高アルコール飲料に依存する女。(「ストロングゼロ」)
十歳年下の彼氏の肌の若さに当てられ、整形沼へ走る女。(「デバッガ―」)

夫から逃げだしたのに、今度は不倫相手に振り回される女。(「コンスキエンティア」)
生きる糧だった推しのライブが中止になり、彼氏と豪遊の心中旅行に繰り出す女。(「アンソーシャル ディスタンス」)
恋人と会えない孤独の日々の中、性欲と激辛欲が荒ぶる女。(「テクノブレイク」)
絶望に溺れる手で掴んだものが間違っていたとしても、それは私が今を生き抜くために、どうしても必要な希望だった。
女性たちの疾走人生を鮮烈に描く五つの短編。

 

テレ東・BSで放映している「あの本、読みました?」で紹介させれていた

作品で朝井リョウさんが解説して強く推されていたので手に取りました。

 

金原さんの作品はこれが初めてです。

 

ここに出てくる登場人物は男女共にどうしようもない醜さや悩みを抱えています。

そして一人称で描かれている女性に関しては

執着心、虚栄心、堕落、心神耗弱などと普通の人が読んでも

ちょっといきすぎてしまっている状態の人が描かれています。

一見表側から見ていると普通の人を装っていますが、

外見、世間体、家族、社会、孤独にまつわることになると

変貌というか豹変する域までに変わってしまい

その描写力はただ驚くばかりでした。

 

全体的に性描写が多いのでそれなりにくどさが出てしまうのは

仕方ないと思いますが、それ以上にその主人公の女性が欲望に熱して

しまう描写は突き抜けた描写があり、これが芥川賞作家なのかも

しれないと思ってしまいました。

男性よりも女性だからこそここまでの域で描かれたのかとも思えました。

 

どの章に出てくるような物語とは程遠い人生や生活を送ってきたので、

とても身近には感じることは出来ないですが、

それなのに何処か心の奥底の闇の部分を引き出されているような感覚が

この作品では表現されているような気がしました。

 

後半の「アンソーシャルディスタンス「」と「テクノブレイクは

コロナ禍を交えているのでかなりリアリティーがあって生々しかったです。

 

金原さんの作品は読んだことは無いですが、

「蛇にピアス」という印象が強くその印象が揺らぐことなく

この作品もインパクトがかなりあって、

帯にもあるように「とにかくキマるから読め」

というのがその通りで現代の鬱屈とした女性を

リアルに描かれた作品だと思いました。

 

かなりパンチがある内容なので、

周りを気にしないように一気に一人で読むことをお勧めしたいです。