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2024年5月16日読了

 

内容

とある町の路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地。

そこに、女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。
自治会長の提案で、住民は交代で見張りをはじめるが……。

住宅地で暮らす人々それぞれの生活と心の中を描く長編小説。

 

津村さんの作品は「とにかく家にかえります」を読んで、

これで2冊目です。

 

ある街の路地を挟んで十軒の家が並ぶ住宅地へ

女性受刑者が刑務所から脱走したというニュースが飛び込んで来る。

そこで自治会の提案で住民の間で交替で見回りをはじめていく中で

住宅地に暮らす人々の人間模様が浮き彫りとなっていく物語。

 

巻頭に住宅地図と家族構成が書かれていますが、

登場人物が多いため、場面の切り替えが突如と移り変わっていくので、

頭の中が混乱してしまうので、この地図と家族構成を確認しながら

何とか読み進めていきました。

女性受刑者とこの住宅街との関係性が見えてくる頃になると

やっと全体像も見えてきたようにも思えて一気に読むスピードが

上がりました。

 

登場している住宅街に住む人達はいたって普通にどこにでもいるような

人達ばかりですが、それぞれの家庭や家族で各々の問題を抱えながら生きています。

一見すると幸せそうに見える家族であっても、

家庭の中では不穏な空気であったり、親子であっても変に口にすることが

出来ない間柄だったりと、隣の芝生は青く見えるというのは

この作品を読むとつくづく本当だなと思ってしまいました。

 

最終的には全ての家族が問題を解決をしたという訳ではなかったですが、

今まであまり近所付き合いのなかった関係だったのに、

見回りをはじめたことによって、お互いを良い具合に知ることが出来て、

良い距離感で支え合ったり協力し合っていけたという明るい兆しが

見届けたので読了後はすっきりとしました。

 

これだけの登場人物と人間関係の絡み合いを

映像化にしたら面白いと思うので観てみたいと思ったら、

既にドラマ化されていたので観てみたかったです。

 

ひと昔前と違って近所付き合いをはじめとして

人間関係がどんどんと希薄になっている時代だからこそ、

このような物語は面白味があり、ここから人間関係の繋がりや大切さが

大事というのが分かる作品だと思いました。