2024年5月12日読了

 

内容

仕事に行きづまった編集者の津山は、本当に作りたい本を作るため、

かつて自分が救われた小説の著者、涼元マサミに新作を依頼する。
そうして生まれた作品が、娘と縁が切れそうだった涼元から、

余命宣告された装丁家、心に傷を抱えた書店員、

そして自分の時間が止まっていた読者まで、みんなの人生を動かす。
本を愛するすべての人に!
本が生まれて、読者へとつながる「本に関わった五人の奇跡」を描く、感動の物語。

 

森沢さんの作品は好きなので何冊も読んでいます。

今回も心が温まり、心が弱ったりした人に寄り添った物語で、

素敵な言葉が沢山散りばめられた作品でした。

 

仕事に行き詰った編集者と鳴かず飛ばずの作家から生まれた作品を

通してはじまっていく奇跡の五つの物語。

 

編集者と作家という関係での物語は今までに色々とあったので

読んだことがありますが、ブックデザイナーや書店員や読者まで

巻き込んだ物語は今までには無かったので

新鮮な気持ちで読めました。

 

それぞれの境遇での苦悩もよく理解出来て、

何か打開策が無いかと思いながら読み進めていきますが、

その中でも一番心を打つ物語はブックデザイナーの青山哲也の章でした。

命を懸けて作っている本のデザインを読んでみたくなる

気持ちになると同時に、しーちゃんとのこれから残り時間の

少ない人生を送っていく二人を見守りながら応援をしたくなる

気分になりました。

 

この作品に出てくる「さよならドグマ」の内容は登場人物の会話の

中で何となく把握が出来きてきますが、それでもはっきりとした

作品は分からないので読んでみたいなという気持ちになりました。

 

この作品の中でも一つの本から

様々な人との繋がりが出来るというのがよく分かるので、

本当に本というのは人を繋げられるものだと改めて思いました。

 

最後までハッピーエンドに繋がって良かったですが、

それまでに登場していた人達のその後が気になってしまったので、

あとがきでも何でも良いので、

後日談として何か描かれていると良いなと思ってしまいました。

 

ミステリー小説やサスペンスなどのドキドキ、ワクワクするのも良いですが、

こうやって人の心に寄り沿いながら読める作品は

安心して読めて読了後は心が穏やかになれるので、

森沢さんの作品は私の読書生活の中では欠かせない作家さんです。

 

今回の作品の中で心に留めておきたい素敵な言葉は

「過去を大切にすることも大事だけれど、

 いまと未来を大切にしないと、

 いつかその過去まで否定することになるよ。」

 

「わたしの人生は、雨宿りをする場所じゃない。

 土砂降りの中に飛び込んで、

 ずぶ濡れを楽しみながら、思い切り遊ぶ場所なんだよ。」

 

また素敵な作品に出会えて良かったです。

新たな出会いのために読書をこのまま続けていこうと思います。