2024年4月18日読了

 

内容

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!

 

2024年本屋大賞受賞作品ということで手に取りました。

 

滋賀県大津市を舞台に主人公の成瀬あかりの中学生から高校生までの

成長を描いた青春小説。

 

「私はこの夏を西武に捧げようと思う」という言葉から

始まった主人公の成瀬あかり。

地元のデパートが閉店してしまうため、地元のローカルニュース番組に

営業終日まで毎日現地レポートしている所に映り込みをするという

試みを実行していくというユニークな発想の持ち主に話が展開していきます。

 

成瀬の幼友達からの視点、かるた大会で出会った男子学生からの視点などと

成瀬を取り巻く視点からの成瀬も描かれていて、こちらも他の人とは

少し違った成瀬の一面が見えて面白かったです。

 

成瀬は学力も優秀で頭も良く、何をしてもさらっとやりこなしてしまうタイプ

だと思いますが、友達に対しても両親に対しても普通の子のように

話すのではなくどこかぶっきらぼうで淡々としているのが気になりました。

 

本屋大賞受賞作ということなので、

何か大きな盛り上がりのある内容かと思って最後まで読みましたが、

そうゆうものはなく淡々と終わってしまったような気がします。

けれど、成瀬の地元愛は深く、成瀬の包み隠さない堂々とした性格が

親しみが持てました。

 

成瀬の「わたしは二百歳まで生きようと思っている」

という根拠が「これまでに二百歳まで生きた人がいないのは、

殆どの人が二百歳まで生きようと思っていないからだと思うんだ。」

というので思う人がいれば増えるという考え方が面白く

ポジティブな考え方で印象的でした。

 

琵琶湖をはじめとして滋賀県にはゆっくりと訪れたことが無いので、

この作品を読んでゆっくりと旅をしてみたい気分になりました。

 

この本を買った時には青春小説なので続編はどうかなと思いましたが、

今後の島崎との付き合い方やデパートが閉店になってしまった後の

成瀬の行動などが気になるので、このまま続編を読んでみたくなりました。

 

とても読みやすくサクサクと読めるので

学生さんにはお勧めな作品だと思います。