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2024年1月7日読了

 

内容

底辺女子が人生逆転!? 不遇な家庭に育った17才のユキが、

子供を持ちたい人々と貧困女性を救う〝代理母ビジネス〟の賭けに出る。
義父の策略で、違法な代理母出産をさせられた16才のユキ。

命がけで出産したにもかかわらず、報酬はすべて義父の手に。

再び代理母をさせ稼ごうとする義父の手から逃げだしたユキは、

自らの経験を逆手に取り、自分のような貧しい女性を救う大胆な〈代理母ビジネス〉を思いつく。

ユキを支えるのは医師の静子&芽衣子のタッグと、ゲイのミチオ&一路。

さまざまな事情を抱えた「子どもを持ちたい」人々が、最後の砦としてユキたちを頼ってやってくるが……

日本の生殖医療の闇、貧困層の増大、妊娠・出産をめぐる負担など、

現代日本が放置した社会問題を明るみにしながら、「代理母」ビジネスのタブーに切り込んだ問題作。

 

垣谷さんの作品が好きなので何冊も読んでいますが、

今回も日本の現代社会が抱えている少子化、貧困、

妊娠・出産にまつわる課題そしてそれを取り巻く社会問題を

取り上げていき、そして代理母のビジネスというタブーに切り込んだ

作品ということだけあってフィクションの世界であっても

かなり近未来に近いような世界の中で描かれていたように感じられ

とてもリアル感がありました。

 

代理母がテーマとなっている内容ですが、

少し男性の倫理観が行きすぎた部分も見られましたが、

実際にはこのような経験をした女性も少なからずは実存すると思いながら

読むことも出来ました。

これくらい究極な部分で描かないと出産ということは

女性にとって一大事で人生そのものを左右する事柄だと思います。

今や出産や子育ては女性だけの問題だけでなく、

結婚という問題も含み、ジェンダー、LGBTQ、貧困、難民などの

様々な問題も絡みあっているので十人十色の考え方があって良いのだと思いました。

けれど実際に個々のことを解決しようと思っていても、

日本の法律や医療制度がそれに追いついていかず諸外国からも置いてけぼり

状態となっているので問題解決はこれから大変なことだと思いました。

 

代理母の問題にしても代理母のメリットやデメリット、

医療の危険性などと大まかなことは知っているつもりでしたが、

この作品で詳細なことも触れて知ることが出来て良かったです。

 

代理出産を認めるとかそうゆう問題よりも

その前に医療制度、結婚制度などその他にもまだ問題を

解決する部分が往々にあるようにも思えました、

そしてこれらの問題を整えていくと同時に代理母のことも

交えて進めていくのが良いのかなとも思えました。

一長一短には出来ないことだと思いますが、

まずは生身の人間がいるということが前提で進めていき、

悲しい思いをする方が増えないような社会作りになって欲しいと思いました。

 

垣谷さんの作品にしては珍しくラストが清々しい読了感とまでは

いかなかったですが、難しいテーマを題材として取り上げて

主人公だけでなく、読者の皆さんにも問題提起されて

いて良い作品だと思いました。

果たして遠い将来の日本はどうなっているのでしょうか?と

思ってしまう作品でした。