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2023年1月16日読了

 

内容

都内の幼稚園へ赴任してきた神尾舞子。

騒音や待機児童など様々な問題への対応を迫られる中、

園の生き物が何者かに惨殺される事件が立て続けに起き、

やがて事態は最悪の方向へ──。

『闘う君の唄を』に連なる、シリーズ第2弾。

 

騒音と待機児童を問題とした世田谷の幼稚園を舞台となり、

都内の幼稚園へ新しく赴任してきたクールな神尾舞子が

難題へと立ち向かっていく。

 

本来、子供達を大人や地域で守っていかなければいけない

立場であったり、安全で安心という楽園のような場所でなくては

ならない所なのにそんな場所でさえも今や危うくなっている

幼稚園。

この作品を読み進めていくうちに、

一体、この国を支えていくであろう大切な子供達が

こんな状況下に置かれているのが大丈夫だろうかと

心配になってきました。

 

最近でも幼稚園内で起きた虐待事件や通園バス内での

置き去り事件などの事件のニュースでの報告も多く

取り上げられているので、この作品内で起きている事とも

絵空事とは思えませんでした。

 

前半部分ではクールな幼稚園教諭の神尾舞子が

新しく赴任した幼稚園では幼稚園の教諭とは思えないような

冷静さと利己的、事務的だという印象でしたが、

園児に直接関係のある事柄に対してはかなり奮闘して

子供に対しての情熱が見られたので少しほっとしました。

 

時よりテレビでも園長の記者会見を観ることがありますが、

この作品でも登場する場面があり、保護者に対してのやり取りが

かなりイラつき感のある様子でリアルさがありダメな幼稚園だなと

思わせられました。

後半では事件に至るまでに関わった人物が再び登場して

各々の言い分や言い訳を聞いていると、子供達よりも

大人達の方が自分勝手極まっていて、特に犯人となった人物には

身勝手極まりなく、自分の欲望のためだけに生き物を

痛めつけているのには憤りを感じました。

 

前半では幼児教諭の現代の働いている生の現場状況が

よく描かれていて、特殊な職業ということもあり

かなりの労働力が強いられているのが分かり、

後半では事件解決のために真実へと向かっていくので

ややミステリー性の強い傾向となっていたので

一気に読む加速度が早まって緊張感もあって面白かったです。

 

中山さんの作品は何冊か読んでいますが、

社会問題をテーマにした作品を斬りながら

の作品が多いので学ぶことも多くあり、

考えさせられることもあって興味が益々出るので

これからも幅広く読んでいきたいと思いました。

 

「闘う君の唄を」に連なるシリーズ第二弾を

先に読んでしまいましたが、

これで第一弾も読んでみたいと思います。