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2023年1月13日読了

 

内容

入賞者ツアーのはざま亜夜とマサルとなぜか塵が二人の

ピアノの恩師・綿貫先生の墓参りをする「祝祭と掃苔」。

芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の

若き日の衝撃的な出会いとその後を描いた「獅子と芍薬」。

作曲家・菱沼忠明が課題曲「春と修羅」を作るきっかけになった

忘れ得ぬ教え子の追憶「袈裟と鞦韆」。

ジュリアード音楽院プレ・カレッジ時代のマサルの意外な一面「竪琴と葦笛」。

楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏へ天啓を伝える「鈴蘭と階段」。

巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」。

全6編。 

 

「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編小説集。

 

「蜜蜂と遠雷」の本編を読んでからだいぶ時間が経ってしまったので、

細かい部分をだいぶ忘れてしまったので、原作を元にした映画が

最近放映されていたのでそれを観たことを思い出しながら読みました。

 

スピンオフ短編集ということもありますが、

本編の印象が強かったので、それと比較してしまうのも

申し訳ないところですが、物足りなさを感じてしまい

もう少し読みたかったなという気持ちが強く残りました。

けれどそれぞれの主人公の当時の背景やその後の様子などが

分かって納得や確認が出来てより本編が引き立つような気がしました。

 

本編のその後が本当の所は気になるところでしたが、

それは書かないということなので残念です。

 

最終ページから読む特別オマケ音楽エッセイ集は

当時の関連エッセイと音楽関係のエッセイがまとめられていました。

本編を読んでいた時もずっと思っていたあれだけの音楽の知識と

ピアノを弾いている描写などかなり詳細に描かれていたので、

どんな方法で描いていたのかと思っていたことが書かれていたので

これもまたすっきりと分かって良かったです。

これまでの恩田さんのピアノ経験と音楽に携わっていた積み重ねの

時間がこれまでの素晴らしい作品に結びついたのかと思いました。

 

ピアノやクラッシックの事だけではなく、

「夜のヒットスタジオ」の頃、アルバム作品としてのサウンドトラックは

恩田さんと生まれた世代が近いということもあり

同じような所で頷けることがあり懐かしさも含まれて楽しめました。

 

私も幼い頃から数年間ピアノを習ってそれなりにピアノを習得しましたが、

もう長い間ピアノを弾くことから去ってしまいました。

けれど未だにピアノの音色を聞くと聞き耳を立てたり、

ピアノの話題があると興味を持ったりするので、

いつになってもこうゆう気持ちは持っていたいなと

改めてこの作品を読みながら思いました。

 

本編を読んだらなるべくこのスピンオフ短編集は

早めに読んだ方が良いと思うのでお勧めします。