『ビザンチウム』
2012/監督:ニール・ジョーダン








孤独の影を宿した16歳の少女エレノアと、彼女の8歳年上で、妖艶な大人の女性の魅力を振りまくクララ。

何かに追われ逃げ回るように、見知らぬ街を渡り歩きながら放浪生活を送る2人が、今回辿り着いたのは、海辺の寂れた保養地。

身を隠す所を求め、気のいい青年の持つビザンチウムという名の老朽化したゲストハウスに身を寄せた2人。

そこを売春宿に仕立て直し、お金を稼ごうとするクララ。地元の学校に密かに通い、フランクという青年に心惹かれるエレノア。

実は2人は、200年の時を生き、人の血を求め彷徨うヴァンパイアで…
自らの呪われた運命から逃れ出ようと、もがき苦しむエレノアを待ち受けているものとは。
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」を手掛けたニール・ジョーダン監督による、夢幻的で刹那的な新感覚ヴァンパイア映画🎬


ヴァンパイアものだけど、皆んなが共通認識で持っているようなヴァンパイア像や物語ではなく、
また新しいカタチのヴァンパイアものだったように思う。
静かで、とても幻想的。悲しく、儚く、美しい…とてもノスタルジックで、でもダークで。
本当に、とても美しいお話だった。
主役のシアーシャ•ローナンは、とても寂しげで儚げな表情が美しい女優さん。
彼女の出ている映画は、わりとハズレがないし、好んで観る傾向にある。
孤独を脱しようと、嘘を辞めようと、美しい字で周りに自身の真実の物語を伝えようとするエレノアが、本当にぴったりの役柄だった。
個人的には、サム・ライリーとケイレブ・ランドリー・ジョーンズの配役がすごくいいなと思って、
色白でノスタルジックな雰囲気のある2人の俳優さんが、よりこの作品を魅力的なものにしてるなぁと感じた。
長髪の似合う男性って素敵。金髪かき上げヘアーカッコ良すぎる。

話の筋書きとしても、とてもよく出来ていて、
ちゃんと全ての話が回収されるし、謎も残らない。
理不尽さも感じるけれど、時代がそうさせている部分もあったし、家族の愛ゆえの事でもある。
自分勝手さによって、他者を巻き込んで良いわけではないし、他人の「時」を奪うことは誰でも許されるものではない。
「時」と引き換えに、「魂」を無くすことも、
自身の「血」で「永遠の時」を買い、他者の「血」を代償にすることも、
それは人として生きる上では、「罪」である。
「生」か「死」か。
「愛」という名の慈悲と正義で、「死」という人間に平等に訪れる「時」の足音を止めるのか。
ただ、何が正しく、何が悪いでもない。
「選択」と「覚悟」に寄るものである。

ラストシーンは、メインの2人の女性にとって、とても心地の良いもので、スカッとするし、同じ女性としてホッとするところもある。
無いけれど、続編が観たくなるおねがい
とても現実的であり、ファンタジー過ぎない、御伽話ではなく、リアルに近い、
けれども、幻想的で夢幻的で儚く美しい。
そんなヴァンパイアもの。
ヴァンパイア好きは必見の映画🎬

※個人的には、「老い」と「死」が先にあるからこそ、懸命に生きることが出来る、人生というものを(「生」というものを)大切に出来ると思うので、
不死の永遠の時を生きる命は要らないかな笑い泣き
今を愛しんで生きること。
そんな想いも感じた映画でした照れ