『ゴジラ-1.0』
2023/監督:山崎貴








第96回アカデミー賞視覚効果賞を日本映画として初受賞の快挙を果たした作品。

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔『ゴジラ』の生誕70周年作品であり、日本で製作された実写ゴジラ映画として通算30作品目の映画🎞️

舞台は戦後日本。戦争により焦土と化し、多くを失い「無(ゼロ)」となった日本に、突如出現するゴジラ。ゴジラは圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす…

特攻隊を命じられるも、飛行機の不良で大戸島に降り立った敷島浩一。
そこで彼は恐ろしい“ゴジラ”と初めて遭遇する。
生きながらえ戦争から帰還するも、両親を失った敷島の元に、ひょんなことから転がり込んで来た典子と連れ子の明子。
3人は肩を寄せ合いながら、戦後の東京で強く生きようとする。
戦争から数年後、戦争での後悔や罪悪感に悩まされ苦悩し、1人戦争を終わらせられずにいる敷島の前に、再びゴジラが現れ…


私は「平成ゴジラシリーズ」で育った年代で、特に「ゴジラvsモスラ」が好きだ。なんてったってバトラが大好き。
ハリウッド版ゴジラは「キング・オブ・モンスターズ」がイチオシ。
一応、それなりにゴジラは観ているかなと思うし、日本に誇る怪獣であるので、そうそう!これが日本のゴジラだ!と思えるシーンがたくさんあって、とても面白かった。
視覚効果賞を受賞しているだけあり、ゴジラの皮膚感や細部に渡る造り込みには、目を見張るものがあった。 
海面を進む不気味な背中の突起物、眼の動き、ビームを吐く時のギミック、圧倒的な破壊力と絶望感…銀座で暴れるシーンは、ちょっとカッコ良すぎてニヤニヤ。
ハリウッド版は、わりとゴジラが味方感あるし、なんかちょっと意思疎通してるし、怪獣プロレス感が強すぎて、ポップコーンムービー真っしぐらだけれど、
この日本のゴジラは、畏怖の対象として上手く作られている。
そこがまた良い。

戦争、戦後…戦争に行った人、行かなかった人、命を散らせなかった人、救えなかった命に罪悪感を抱き抜け出せない人…
荒涼とした瓦礫の山の東京の姿にも、戦争で憔悴した日本の様子にも、グッと胸を締め付けるものがあった。
戦争で消化しきれずにいたやり切れない気持ちを、“ゴジラ”との闘いで昇華させていく人達。
「僕の戦争が終わっていない」と歯を食いしばる敷島の想い。
“戦争・戦後”という状況と“ゴジラとの闘い”が、ものすごく上手く合致し進んでいくシナリオに、
とても心を動かされた。
日本人俳優独特の、少しオーバー気味な熱い演技も、見事にマッチしていたと思う。

ネタバレは控えたいのであまり語れないけれど、
ラストシーンがすごく良かった!
熱い結末に少しうるっと来たりもして。
でも、果たしてこれはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか…
戦争の原爆被害の後遺症のように、長く苦しめられる戦争の負債。
ゴジラとの闘いにも、この負債はきっと起こっていく。
「ゴジラ細胞」を侮ってはいけない…


しばらくハリウッド版ゴジラを見慣れていたので、日本の重めのゴジラはずーんと心に何かを落として行った。
でも、これこそゴジラ。
まだ未視聴の方には、ぜひオススメしたい映画です🎞️