『星の旅人たち』
2012/監督:エミリオ・エステベス








アメリカ人の眼科医トムは、一人息子のダニエルが、スペイン北部ガリシア地方の聖地「サンディアゴ・デ・コンポーラ」を巡る旅の途中で不慮の死を遂げたとの報せを受ける。

妻の死後、疎遠になっていた息子が、何を想い聖地巡礼の旅に出ようとしたのか、

トムは息子の遺灰と共にその足跡を辿る為、聖地巡礼の旅へと出立する。

孤独な旅路かと思われたが、サラ、ヨスト、ジャックといういつの間にか旅を共にする仲間も現れ…



雄大な景色と共に進む本作。

結構なアクシデントに見舞われながらも、“道を行く”目的を同じとした人達に救われながら、「道とは何か、人生とはなにか」を深く感じる映画🎞️

主役のトムと息子役の俳優さんが似てるなぁ!と思っていたけど、まさかの親子だったようで(ちなみに息子役は監督本人で、主役は監督の実父)、そりゃそうだと納得した次第です爆笑


「こうであれば、こう」みたいな、頑固一徹感がすごいトム。
そんなトムには、息子の気持ちは計り知れなかっただろう。
けど、息子の「何か」を知りたいし、夢を叶えてあげたいと、バックパックを背負い過酷な道に挑戦する様は、胸を打たれるものがあった。
旅を共にするメンバーも、それぞれに「何か」を背負い、その「何か」の答えを求めて歩いていた。
その答えが明確に描かれるわけでは無いけれど、踏破した後のそれぞれの表情や晴れやかな雰囲気から、きっとこの道を歩いた人だけが到達できる「何か」があるのだろうと感じた。
「旅を続けなければ」というトムのセリフにもグッと来た。


「人は人生を選べない、ただ生きるだけ」
息子ダニエルがトムに伝えた言葉。
ものすごく深くて、でもものすごく真実で…
今まで築き上げて来た地位も名誉も、高尚な理由も、本当は必要ない。
そんなものは、ただ人を分類する“ラベル”。
生きる意味も目的も、大層に考える必要もない。
自分の中だけの小さな渦巻く悩みが、何でもない糸くずのようにちっぽけに感じて、壮大な世界の流れの中に、ただ生かされていると感じる。
ただ、生きればいい。
風を肌に感じ、季節の香りを嗅ぎ、自然の音を聞き、ただ、そのままの存在を心から生きればいい。
それを更に実感し答えとして求めるために、きっとダニエルは道を行こうとしたのではないか。
賢くなり過ぎたが故の人間の苦悩。
その苦悩を手放して、ただ自然と共に生きること。
そんな地球の一部としての自分を深く考え体感出来る映画だなと感じた。


個人的にはヨストの存在がとても好きおねがい
本能で生きている感じや、色々なことに気づいて気遣っているシーンがあったり。
優しくお調子者なヨストの存在は、きっとこの道を行く旅に癒しをもたらしていたと思う。

ゆったりとぼーっと、穏やかに観られる映画🎞️
日々の忙しさや悩みに疲れたら、雄大な自然の映像と共に、この“道”を一緒に歩くのもいいかもしれませんニコニコ