『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』
2024/監督:黒川智之








地球外からの侵略者が日常に溶け込んだ世界で、青春を謳歌する少女たちの姿を描いた、浅野いにおの同名漫画をアニメーション映画化した2部作の前章。

浅野いにお書き下ろしによる、映画オリジナルのストーリー展開とラストが待ち受ける。


前章:東京でハイテンション女子高生ライフを送る、小山門出と“おんたん”こと中川凰蘭。

学校や受験勉強に追われつつも青春を謳歌する2人が暮らす街の頭上には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曾有の事態を引き起こした巨大な『母艦』が浮かんでいた。

“非日常”が日常に溶け込んでしまった異常な日々。

そんなある夜、仲良しクラスメイトに悲劇が起こる。衝撃と哀しみに打ちのめされる2人。

そんな中、おんたんは不思議な少年と出会い「君は誰?」と問いかけられる。

その途端、おんたんの脳裏に、すっかり忘れていた門出との過去がフラッシュバックし…?!



浅野いにおさんの「おやすみプンプン」がとても好きで、
1時期、「鋼の錬金術師」を差し置いて、私の中のベスト漫画1位に輝いていたくらい。
鬱々とした、“異常”が“当たり前”になっている日常で、精神を崩壊させていくプンプンの細密な描写がとても好きで、どっぷりとハマっていた。
今作の漫画は、さわりを少し読んだくらいで、全く内容を知らずに映画版を観賞。
“異常”が上空にある中で、世界は何も変わらずに楽しく進んでいく…これこそ、ゾクゾクするほどの浅野いにおワールド。
描き込みに描き込まれた背景やコマ割りの中に、いきなり変な顔の人や動物が出てくるのも、いにおさんらしくて、くすりと笑ってしまった。

おんたん、門出の青春譚でありながら、時折門出が呟く「ちゃんとした大人になれるかな」的なニュアンスのセリフが、グサリと胸を刺す。
“異常”を見て見ぬふり、むしろなんでも無いものくらいの無関心具合で生活しながらも、
どこかでは「この異常な日常は、いつか終わりが来る、むしろ破壊を望んでいる」ような門出の発言。
その門出に寄り添い、ハイテンションを演じ生きるおんたん。
過去の出来事も、この物語の核になる部分。
ぐんぐん引き込まれるストーリー展開に、後章が早く観たくてたまらない!
また、ドラえもんのような存在で描かれるイソベやんも、不気味で仕方ない。
ドラえもんには夢が溢れているのに、イソベやんには恐怖と狂気しか感じない…侵略者の秘密道具とイソベやんの秘密道具が重なり、より不気味さと破滅への手助けを感じさせる。
この不気味さ、不安定さ、大きな鬱々とした真っ暗な闇を隠す笑顔…
この背筋が何となくゾクゾクするような気持ち悪いSF感が、いにおさんらしく、また堪らなく面白い。

また、話題作りだなんだと言われていたけれど、
門出役の幾田りらちゃん、おんたん役のあのちゃん、2人の声がとっっってもキャラに合っていて、いにおワールドにもバッチリで!
少し癖強な2人で無ければ、この異様な世界観に負けてしまうのではないかと思うくらい、
この2人以外にもはや考えられないくらい、
とにかくマッチしていた。


前章では、まだ謎がありすぎて、結末が読めなさすぎて、ワックワクが止まらない状態でお預けを食う…
時折出てくる侵略者のフォルムと、彼らの目的にニヤニヤしながら、こうなるのかな、ああなるのかなと妄想を楽しむしかない。
映画オリジナルのストーリー展開とラストが待っているらしいので、このまま漫画に手を付けずに後章を待ちたいと思う
後章も観終わった後は、漫画全巻を大人の力で手に入れて、デデデデの世界観を堪能しようと目論んでいる照れ

イソベやん!早く後章を観させて!!