Day7

もう今日で1週間か〜、と起きてぼんやり思う。けれど焦っても何も良いことは起きないので、変わらず頭に浮かんでいたキーワードから、ひとつずつやっていこうと思う。
〝コールドスプリング〟という言葉を知ったのは雑誌の中で、半年前くらいから気になっていた。何でもアーティストたちがニューヨークから、1時間半ほど離れたところにあるこの場所に最近移り住むようになったそうで、ここでもニューヨーカーのリアルが見られるかしら、と思う。

メトロノースの始発駅は所謂東京駅みたいな、巨大なターミナル。その上つくりがホテルのようでとっても豪華で、旅の期待感を煽る。

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導かれるままにホームまで行き、列車に乗り込む。座席に座ってみてびっくり。今まで乗った中で1、2を争う乗り心地のよさ。かためのシートが好みです(車内のベストワンは九州新幹線かな〜)。ちなみにこっちの地下鉄のイスは、日本のバスを待つ青いベンチと同じくらいのかたさ。そりゃ、こちらから来た外国人は日本の電車に興奮するはずだ。

直前まで知らなかったんだけれど、コールドスプリングは今、つまり紅葉の季節がベストシーズンなんだそう。車窓からの景色を楽しみながら、私たちは目的地に向かう。


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昨日手に入れたお気に入りの〝Cony Island〟Tシャツで。

何せ全く観光地ではない場所で、何のサインもなくキョロキョロしている私たちに救いの手を差し出してくれたのは、近所に住む、バンカーをリタイアした品の良い男性だった。〝街の中心までは少しあるから、送っていこうか?〟って。ありがとう、おじさん。そして車から降りた途端、この景色が目の前に広がる。


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こんな街、映画かアニメの中でしか観たことがない!あまりに紅葉が美しくて、しばし立ち尽くしてしまう。

アンティークショップがあちこちにあると聞いていたので、さっそく1軒目に入ってみる。ティーカップやポストカード、家具やランプ。嬉々として見て回る。

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中でも私の目をひときわ惹いたのが美しいアンティークドレスだった。こういうのは大体直感で買うことを決めてしまう。さぁて、いつこれは着られるかしら。


お花の可愛い、ブランチが有名だというこぎれいなお店を見つけて、遅めのランチ。
お店の人がとにかく親切で、ニコニコ接客してくれたのがとにかくすごく嬉しかった(つっけんどんなシティでの店員の対応とのギャップによるところが大きい)。食事も野菜が新鮮なのと、丁寧につくられていて美味しかった。

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レストランからの眺め

リバーサイドに移動して、景色を眺めながら思いっきり、ぼうっと時間を楽しむ。風が揺れて、落ち葉がカサカサと擦れる音のほかは静かだ。時おり、鐘の音が遠くで鳴ったり、横切るボートのモーター音がひびく。


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川縁から少し引くとこの景色。

この2日間は天気にも恵まれ、美しい景色をただただ眺められた最高の2日間だった。わたしの考える、まさに桃源郷みたいなところ。可愛い建物たち、大好きなアンティークのショップ、花、緑、川、何より人々にゆとりがあって、温かい印象。やっぱりせかせかしているのは、私にはあまり得意ではない。


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夕日が空に溶けて、ピンクとブルーとが混ざり合う。

帰り道、ドレスの入った大きな箱を抱えて歩く私に、Annaが半分呆れ顔でYou're so amazing!
それにしてもドレス、ステイ先までは良いけれど日本までどう運ぼう。今、そのことばかり考えている。


Day8

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この日はやたらと疲れてしまっていたので、残した文字は少なめ。朝からオーケストラを観に、マンハッタンへ移動し、オープンリハーサルというあまり日本ではみない珍しいものを観ることができた。珍しいといえば、この日のコンダクターがソリストでもあったことに驚いた。2曲指揮をして、1曲ヴィオリンを弾いていた。指揮をしているときよりもヴィオリンを弾いているときの方が明らかにオーケストラを引っ張っていて、全部弾いたらいいのに、と思った。音色が絶品で、とても温かく、この人のヴァイオリンが少し聴けただけで私は満足。


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Music(Sketch) /Henri Mattise(1907)

 中華料理(私がお米が食べたいと駄々をこねた)をはさんで、MoMA(近代美術館)へ。Mattise、Picasso、そして何人かのドイツ人アーティストの何枚かの絵が私の心を捉えた。絵の正面にひとり立って、対峙する時間が私は好き。何を思いながら、何を伝えたくて描かれたものなのかを教えてくれる時間だから。アーティストと、時を超えて繋がる貴重な時間。
Nan Goldinや日本人アーティストのインスタレーションを観た後、ステイ先に戻る。

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コンゴ流のおもてなしを生まれて初めて受ける。人の温かさに触れるのも、ひとり旅の醍醐味。

明日ここを発つ私のために、Sandraが最後のコンゴ料理のご馳走を作って待ってくれていた。4人で楽しい夜を過ごす。その後、〝ハウスワイン〟が回って誰より先に熟睡。