【イノチのあり方 オンライン講座 木曜1期】開催のお知らせ

◆ 「イノチのあり方オンライン講座」全3回 ◆ (6名)
①「いのちと命」(2月29日・木)
 ・「個の命」と「いのちの流れ」について
 ・本来の「いのち」のあり方とは・・・
 ・私たちが日常的に考えている「命」と「本来のいのち」の違いは・・・

 ②「いのちから生まれる『本当の存在価値』」(3月21日・月)
 ・「個の命」が生み出す自己肯定感と「いのちの流れ」が生み出す存在価値
 ・本来の「いのち」のあり方を知ることで、「生きるうえでの苦しみ」は作られたものであることを知る
 ・「いのち」より先に「生」があることで起きること

 ③「すべては流れ続けるために・・・」(4月18日・月)
 ・「生」と「死」の意味を考える

☆すべて20時から21時半までとなります。

詳細・お申込みはこちら

今回の講座は、受講料の3割を能登半島地震で被害に遭われた方へ寄付させていただきます。

 

 

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その日、渓太郎は奇跡の日を迎えた。





一歳の誕生日。

 

 

 

 

 

 

―――渓太郎が「余命3ヶ月」と告げられたのは、生後5か月の時だった。

 

 

医師から宣告を受けてしばらくすると、私は病室の中で渓太郎の月齢の「5」に、余命の月数「3」を足してみた。

 

右手の指を「6、7、8・・・」と三本折ると、「8」でとまった。

 

 

(生後8ヶ月で・・・。渓ちゃんはお誕生日も迎えられないの・・・)

 


それでもなんとか希望を見出せないかと、私はそこからまた引き続き、12か月(1歳)になるまでの月数を足した。

 

指が3本折られたところに「9、10」まで行くと右手の指が全部折られ、バトンタッチされた左手で「11、12・・・」、と「12」まで折ると、左手の指は2本折られた。

 

 

 

お誕生日までには、7か月も・・・。

 

 

 

 

―――渓太郎の誕生日は、そんな状況を乗り越えた奇跡の日だった。

 

 

(ぼくのお誕生日?なにそれ?)

 

 

「渓ちゃん、お誕生日おめでとう!」と言うと、うれし涙の中に切ない涙が溶け込んだ。

 



(きっと、最初で最後の誕生日・・・。この光景を目に焼き付けよう)

 

 

 

瞬きをすることさえ躊躇するほど、私は1歳を迎えた渓太郎の姿を見つめ続けた。

 

 

 

 

渓ちゃん、誕生日を迎えてくれてありがとう。

 

一年間、生きてくれて本当にありがとう。

 

 

 

そして、そのまま続けて、「来年もまた、お誕生日迎えようね!」と言いたくなる私を(ここまで生きてくれただけで奇跡だね。それだけで十分幸せだね)と説得したのは、これまで何度も見てきた、抗がん剤の副作用でぐったりとする渓太郎の姿だった。

 




逆縁経験者にはよくあることなのだけれど、この時から、「毎年巡ってくる(可能性の高い)誕生日」をどのように受け止めたらいいのかわからなくなった。

 

 


「恒例行事」なのか、それとも「特別な日」なのか・・・

 

 

 

そんな私も先日、53歳の誕生日を迎えた。

 

 

(娘が用意してくれたバースデーケーキ。ありがとう♡ なぜか「みーちゃん」笑)

 

 

「今年はね、イチゴのチーズケーキにしたよ!」

 

「去年はチーズじゃなかったよね。おいしそうだね!!ありがとう!!」

 

 

やはりこれは恒例行事なのだ。

 

 

 

「特別な日」と思えるのも幸せなのだけれど、私はきっと、「恒例行事がまた今年も・・・」と思えた方がしみじみとした幸せを味わえる。

 

 

 

 

だって・・・

 

「恒例」「通常」「当たり前」、どれもあの時の私が憧れた言葉なのだから。

 

 

 

 

 

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