乳癌診療ガイドライン2018年版 放射線療法編より | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

ご訪問ありがとうございます。


で、今回の改訂の『心』

「改訂ガイドラインは、
   いくつか選択肢がある中で、
   患者さんと相談をして、
   介入を決定する際に
   参考にしてほしいツールである」

実際の臨床現場、
患者からすれば、『自分の』癌の治療、
重要なのは、
『医師の経験』や『患者の価値観』が
加味されること、

『ガイドライン』は、
あくまでベースとなるツール。

ということを前面に押し出した改訂が、
さらに、

  「今までよりも、医師・患者の
      shared decision making の重要性
     を考慮し、
     日本の乳癌診療が成熟し、
     次のステップに入ったことによる
     ガイドラインであるともいえる」
  
   「生存期間などの『益』と、副作用などの
      『害』のバランスを考慮した手法
      取り込んだ」

    「CQの投票の結果の賛成率や独自の
       メタ解析結果も記載されている。」

が、すっごく、喜ばしく嬉しく感じる
とご紹介した、

乳癌診療ガイドライン
自分の目線で気になるところ
 (乳癌学会として、まだ議論があったり、
  私もブログで同病の後輩患者さんから
  質問を受けたり、自分「だけ」が正しいと
  いうような方々から批判コメントを浴びたり
  した点も含む。私は初期治療は終わっている
  ので、初期治療については、医学の発展に
  期待する患者としてウォッチしています)
を確認しました。

※人(患者)それぞれ、必要な情報が違うで
  しょうから、
  ガイドラインをお読みくださいね。
  あくまで、私は自分のために確認した
  メモです。


ー◆ー◆ー◆ー◆ー

※念のため書いておきます。
緑字は文句を書いているわけではなく、
素人患者の私は、
感覚的に医学の進歩の流れと同じような
流れを辿って納得しながら
(納得するまで、それなりに時間と手間は
 かかりましたよ)、
結局、「主治医にお任せ」であっても同じ、
すなわち標準治療で推奨されている
MAX治療を受けてきました、
自分で納得できるプロセスを経てきたから
受けた治療には満足しています。
医療の不確実性で、
というか賭けに負けたこともあったし、
ドラッグラグ・保険制度に泣いたことも
あった、
そこは医療者、医師のせいじゃないって
学んで分かっているし、
乳癌学会も頑張って下さっているのが
記事やガイドラインを通じて感じられるし、
自分が巡り会った経験豊富な医師たち、
医療を信頼していますし、
医療の進歩に期待しています。
(もしも自分に間に合わなくでも、将来の
  誰かは救われるのでしょうし、娘がもしも
  乳癌になったら、その医療て救われるかも
  しれないでしょうし。
  まぁ、自分に間に合って欲しいけどさ。 )


【放射線療法編】

◼乳癌の疾患概念

・1980年代:ハルステッド理論
    原発巣➡リンパ節転移➡血行性遠隔転移

     ※ハルステッド術
      (領域リンパ節まで広範囲に取れるだけ
       取りましょうという手術。
       因みに、
       過去記事には何度も書きましたが、
       腋窩から胸骨傍まで
       広~くリンパ節転移していた私、
       &感覚的にやはり癌を取り切り
       たかった私は、
       主治医にこの手術が出来ないか2度
       確認して2度断られている )

       ⬇
       乳癌全切除術
      +乳房全切除術後放射線療法(PMRT)

下矢印

・郭清範囲を拡大しても生存率改善せず。
   全身病モデルが提唱され、PMRTは激減。
     (なぜ領域リンパ節を取れるだけ取っても
      生存率が改善しないか、
      手術時点で既に全身に目に見えない
      微小転移があって、それが大きくなって
      遠隔転移として現れるという理論。
      だから、全身療法の化学療法で微小転移
      をやっつけましょう、全身療法じゃないと
      生存率は改善できない、となった。
      私も、まず全身の微小転移を先に叩くべく
      術前化学療法を強く推奨されました。
      でも、即決は出来ず迷いました。
      化学療法は手術や放射線と違って
      効く確率が低いし~私は効く確率が最も
      高いタイプではあったけれど~、
      局所の皮膚も肥厚していて、効かずに
      増大すれば突き破る、一歩手前状態で、
      患者の感覚では、効かなかった場合、
      目に見えない全身の微小転移より先に、
      今、見ても触っても分かる、局所の癌、
      しこりの方が気になるよね…。
     術前化学療法を強く推奨はされましたが
     手術を先にする選択をした場合、
     2W後に入れてもらえるという、
     急ぐ必要のある症例だったってことです。
     効かなかった場合、即手術に切り換える
     約束で、術前化学療法をしました。
     結果は、FECが効いて皮膚浸潤は免れ
     リンパ節もcCRした。FECで順調に
     原発巣も縮小し続けたけれど、
     次のタキサン+ハーセプチンに変わって
     縮小せず、
     原発巣は残り、その間も血液に癌細胞は
     流れていたはず~術後病理検査結果
     と腫瘍マーカーの推移から推測できる~
     残った原発巣は手術で全摘しました。)
     

下矢印

・1997年:デンマークとカナダのRCT
    高リスク群に対する全身化学療法併用の
    PMRTは局所再発率減少だけでなく
    生存率も向上
      (私も、全身化学療法でpCRしなかった
       術後の原発巣の抗がん剤効果判定も
       中等度、リンパ節は不可解な行方不明。
       手術で取れていない領域リンパ節や
       皮膚、胸壁の微小転移をなくすために
       PMRTしました。)

        
下矢印

現在:スペクトラム理論
    ハルステッド理論と、全身病モデルが
    混在している。

    ⬆私も、こういうことじゃないかなぁ、
        と、感覚的に納得性があります。
        中には、すごーくのんびりした、
        あるいは、リンパ節転移しない
        近藤先生曰くの「がんもどき」も
        含まれるのかもしれませんが…。

        ハルステッド理論も全身病モデルも、
        多様な乳癌を一律いっしょくたに全集合
        で扱っているところに問題があって、

        癌について細かく判明するまでは、
        現時点の全身薬物療法、抗がん剤
        奏効率の低さを考えれば、
        種類関係なく癌細胞を殺してくれる
        放射線PMRTも併用しようよ、
        pCRもしなかった高リスク患者は
       ってことだと思います。
        局所進行乳癌(特に手術で取りきれない
        皮膚やリンパ節に画像上の転移のある
        3b、3c)、炎症性乳癌は、
        最高リスク患者だから
        集学的治療、全部やりましょう
        ってこと。


初期治療の放射線療法の目的と対象
  (特に目立った変更なし)

・目的は、局所・領域リンパ節再発の制御。

・対象は、乳房温存術後または再発リスクの
   高い乳房全切除術後症例。

・効果は、年齢や腫瘍因子や全身療法の併用
   に関係なく一定の割合でみられ、
   再発リスクが高いほど効果的

乳癌術後の局所・リンパ節再発高リスク
   患者には集学的治療の中で放射線療法が
   積極的に行われるべき。

   ⬆薬物療法編でも書かれていますが、
       局所進行乳癌(ステージ3)、
       炎症性乳癌には、強く推奨されている。
       私も治療しました。皮膚は病理検査の
       範囲では浸潤はしておらず、
       リンパ節もcCRはしていたので、
       若干判断に迷うポイントでは
       ありましたが…。


  ⬇⬇私は、この治療をしています。(50Gy)
      照射野はMAXの、鎖骨上下も
      内胸リンパ節も含んで。
      治療前に画像上、胸骨傍リンパ節転移
      疑いだったので。
      腋窩は治療前の病理検査でも明らかな
      転移があり(FECでcCRしたが)
      郭清しているので、
      照射していません。

乳房全切除術後放射線療法(PMRT)

・腋窩リンパ節転移4個以上の場合、
   標準治療。

・腋窩リンパ節転移1~3個の場合、
   勧められる。(合意に至らず)

ーーー

・1回線量2Gyの分割照射(25~30回)

・郭清された腋窩への照射は勧められない。
  (理由)
 リンパ浮腫など有害事象が有意に増加するが
 腋窩の制御率は有意に向上しないため。

・鎖骨上リンパ節照射が標準、その際、
  鎖骨下へも照射される。
  内胸リンパ節へも照射することがある。
 

乳房温存術後放射線療法
  (特に目立った変更はないと思う)

・非浸潤癌およびステージ1、2でも
   乳房温存術後の放射線療法は必要
   というのが標準治療。

・術前化学療法でpCRした場合でも
   乳房温存術後の放射線療法は必要
   というのが標準治療。

・断端陽性の場合の腫瘍床へのブースト
    照射は弱く勧められる(83%)

加速乳房部分照射(APBI)は行わないことを
   弱く推奨(92%)
(理由) 長期のエビデンスが不十分
 

術後放射線療法の適切なタイミング
  (特に目立った変更はないと思うが
  より明確化されたかな)

・化学療法をしない場合、術後20週以内
化学療法➡放射線療法の順が標準治療
・化学療法と放射線療法の同時併用はしない
・ハーセプチンと放射線療法の同時併用は
  右乳癌の場合問題なし。
  左乳癌の場合、心臓への有害事象を考慮し
  十分注意して行う。
   

再発治療の放射線療法の目的と対象

局所再発

初期治療で放射線療法した場合は
   耐容線量近くまで照射されているため
   同じ場所への照射は不可。

②遠隔転移

・骨転移や脳転移に対する緩和的治療が
    多い。


陽子線、重粒子線

・臨床試験レベルで原発巣に対する根治的
    照射に用いられているがエビデンスは
    まだ乏しい。

3個以下で他の転移・再発がない肝転移
    に対してのみ先進医療として
    認められている。


脳転移に対する定位放射線照射

ガンマナイフ
・リニアックを用いた定位放射線照射
サイバーナイフ

・予後良好群で最大径3cm未満、個数1~4個
   SRSを行い全脳照射を省略、弱く推奨(83%)

・全身状態のよい最大径3cm未満、
   個数10個以下、全腫瘍体積15ml以下、
   髄液播種なしの場合、SRSを行い経過観察
   全脳照射を回避できる可能性。


放射線療法による有害事象
    (これらは、通常、インフォームド・
    コンセントで署名する際の説明書に
    細かく書いてある)

・全身倦怠感
        (私もあった)

・放射線皮膚炎、色素沈着
        (私もあった、程度の差はあれ必発)

・放射線肺蔵炎症  
  
   ※1年以内に、2%程度の発生率
      PMRT胸壁のみだと1%、リンパ節
      領域追加で4%

・リンパ浮腫
     
   ※腋窩郭清した場合、
      リンパ節領域照射を追加すると、
      9%➡18%に増

・左乳癌の場合、心臓の有害事象(晩期障害

   ※最近の治療技術では大きく問題に
     なることはない。

・わずかながら二次がん発症リスク増


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