大型寒気団

 

気温が直角に下がる、と天気予報

 

慌てて、妻はセーターなどを出している

 

「あら、このカーデガン肘(ひじ)が薄くなってるわ」

 

「何年も着たから捨てたらどう」

 

「そうだなー」

 

「そうだ!」、野球打者の肘だ

 

 

ーーー

 

手芸品のお店

 

笑顔で気さくなおばさんがいた

 

説明「○×△」

 

「これかしら」と、店のおばさん

 

「あれっ、それって肘カバーじゃないの」

 

今度は、ジェスチャーを交えて説明

 

棚から2つ取り出して来た

 

小判形をした「肘当て」

 

「これですね、説明が悪いんですから」と、気に障る言い方

 

「おたくが(本当に)されるなら、こちらがお勧めね」

 

(お爺<私>がやるの?、信じてない)

 

「アイロンで押えたら、くっつきますから」

 

「ムカッ、いや糸で縫う方がいいよ」(反発)

 

「同じ色がいいのだけど」(派手な単色が多い)

 

「目立つ色がいいんですよ、アクセントになって」(却下)

 

「それで、付け方はどうするの」と、聞く

 

「ブランケットステッチにするのよ」

 

「は~?あ~??」

 

縫った本を見せてくれた、が、皆目見当がつかない

 

「カーデガンを持ってらっしゃい、教えて上げますから」

 

「はい、そうします」立場逆転

 

 

ーーー

 

(手芸品のお店の中)

 

「ここが薄くなってるから、このサイズね」

 

「位置を決めてから縫うのですよ」(仮止め)

 

(おばさんが、手で縫う動作)

 

「もう一度やってみて」

 

おばさん2~3回繰り返す

 

「ありがとう、やってみるよ」

 

と、店の出口

 

「ありゃ、どうだっけ」、引き返す

 

「もう一度、教えて」

 

おばさんの真似をして習う(やっぱりムリかも)

 

「頼んだら縫ってくれる?」

 

「こんなんじゃ、お金貰えませんよ」(笑顔で却下)

 

「これって簡単でしょう!」(うー侮辱)

 

無理だと思ったのか、

 

「紙に手順を書いてあげましょう」

 

「どうしてもダメだったら、また持って来なさいね」

 

   

    (本:ブランケットステッチ縫い)

 

「そうするよ、ありがとう」

 

 

ーーー

 

裁縫道具と書いた紙を前に、挑戦が始まった

 

「何してるの」、今度は妻が珍しがる

 

そして

 

2時間後、「できた!」

 

左右の位置が少し違うがいいだろう

 

今日は、大きな仕事をしたなー

 

     

               (完成品)

 

 

ブランケットステッチ

初めて聞いた

色は、赤、緑、黄、水色でなく

カーデガンと同じ黒色にした

おばさん、少し不満気だった

まー、いいだろう

高齢者なのだから

 

しばらくは、着れそうである

我ながら

かなり上手く出来た

(実を言えば2度やり直し)

 

気が付けば、外は薄暗い

秋の日暮れは早いなー