「今日新ネタやるからちょっと見ててくれない?で、なんかアドバイスちょうだい」

 

『ビックボーイズ』なべ師匠は新ネタをやる度にいつも私にアドバイスを求めてくる。芸歴がひと周り以上も下の後輩にアドバイスを乞う貪欲で謙虚な姿勢には頭が下がる。見習いたいものだ。

 

けれども私にアドバイスなんて出来ない。

「あそこをこうした方がいいですよ」とか「もっと誘い笑いを連発すればいいんじゃないですかね」なんてアドバイスは生意気だし、角がたってしまう。それに面白いと思う感性は人それぞれ違うし、何が正しいかなんてわからない。

 

なので私が出来る事は舞台袖でしっかりネタを観て、「どうだったかな?」と聞いてくるなべ師匠に「よかったと思いますよ!」と元気よく答えることだ。それがイエスマンとしての正しい在り方。

昔、矢沢栄吉が「矢沢のまわりにイエスマンはいらない」と言った事があるが、その逆だ。「なべのまわりにはイエスマンしかいらない」。それでいいのだ。

 

 

土曜の東洋館の舞台。

 

出番前、舞台袖で控えている私になべ師匠が近寄ってきて言ってきた。

「今日、新ネタ直したからちょっと観てくれない?」

 

『ビックボーイズ』師匠は我々の出番の後だ。ネタを終えてそのまま舞台袖に残り、ネタを観ればいいのだ。だから私はいつものように元気よく答える。

「はい!全然いいですよ」

 

それにしても師匠クラスになっても新ネタに挑んでいく姿勢には本当に頭が下がる。見習いたいものである。

 

そんな事を思っていると我々の出番になり、舞台でネタを行う。土曜日ともあってお客さんもあったかく非常にやりやすかった。なので、あっという間に舞台を終え、相方に修正点を伝えながら楽屋へと戻る。

 

楽屋で私服に着替えながら、先輩芸人の『左利き』さんとしばらく談笑をする。

キン肉マンのスマホゲームのガチャで全然いいのが当たらないといった精神年齢が低い話題でひとしきり盛り上がる。

 

すると楽屋に舞台を終えたばかりのなべ師匠が入って来た。

 

「いやぁ~、あんまりだったかなぁ。どうだった?」

 

「いや、よかったと思いますよ!!」

 

そう私が答えると、満足そうになべ師匠は楽屋から出ていった。

 

さすがにここまでのイエスマンはいらない。

 

 


 

今日思った事:ヒロミさんがよく語尾につける言葉「じゃんね」



今後の予定:3月22日 TBS「有吉ジャポン」

3月25日 TBS「似すぎてジワる」23時56分〜24時55分

※結果はわかりませんが、放送されるかもです。

3月31日 東洋館スペシャル寄席