9月1日は東洋館だった。

劇場入りすると、今まさに出番を終えたばかりの『ビックボーイズ』の『なべ』師匠が私に話しかけてきた。

「いや〜、すべっちゃったよ〜!」

バツの悪そうに、照れ笑いを浮かべながらそう言ってきた。

ただ私は今劇場に入ったばかりなので、何も状況は知らない。知らないのに、「すべった」という情報だけを教えてくれた。
ウェルカムフルーツみたいに、劇場のドアを開けたらウェルカム「スベり」が提供された。

「そ、そうなんすかぁ〜…」


そう言って、若手楽屋に入りソファに座ってIQOSを吸ってボーっとしていた。


すると相方が入ってきて言ってきた。

「なんか今『なべ』師匠から『すべっちゃったよ〜』って言われたんだけど、すべってたの?」

「いや、見てないから知らないよ」


しばらくすると『BOOMER』の河田さんが楽屋に入って来たので、挨拶をする。すると

「今日って重いの?」
と聞いてきた。

「いや、わからないです。僕も今来たばかりなんで」

「そっか。いや、今『なべ』師匠から「すべっちゃったよ」って言われたからさ」


どんだけみんなに言ってるんだ!!
なんだその下らない号外は!
もはや面白いので、すべってはいない。




で、しばらくすると自分らの出番。

なるほど。確かに重たかった。
突き抜ける感じがないまま舞台を終える。

悔しかったので、そのまま袖に残り他の芸人のネタを見る。

大半の芸人が「ん〜〜」みたいな表情を浮かべ楽屋に戻っていった。


一体なにがいけなかったのか。
ネタなのか、それともテンポなのか。

そんな話をするため、若手楽屋に戻ると『春風こうた・ふくた』の『春風こうた』師匠が缶ビールを飲んで荒くれていた。

よく見る光景だな。

「俺はいつ死んでもいいと思ってるんだよ!」

年が年なだけに、中々物騒な事を言っている。

「芸人なんてのはな、どっかその辺で野垂れ死ぬか、車にはねられて死ぬかのどっちかなんだよ!」


どっちもバッドエンディングじゃないか。


「よし!今から飲みに行くけど誰か行くか?」


誰も付いて行かなかった。


9月の東洋館スタートです。






今日思った事
女子高生の変顔あるある:顔を両サイドで手で挟むだけ