昨日仕事終わりに、『風藤松原』の風藤さんと安い中華料理屋で雑なラーメンを食べていると、風藤さんが言ってきた。
「今日この後、〇〇さん(有名先輩芸人)の誕生日会なんですよ」
「へー、そうなんですか…」
「誕生日プレゼントにVRのエロソフトを買おうと思ってるんです」
VRのエロソフト。
ひとたび装着すれば、辺り一面に広がるエロ世界。あたかも自分が今そのエロ世界の中心にいるのでは?と錯覚してしまう魔性のアイテムだ。
思えばとんでもない進化である。
エロ壁画、春画、エロ写真、エロビデオ、エロDVD…
と、原始の時代から男たちが追い求めてきたエロはVRの登場により新たな局面を迎えた。
「あ。でも〇〇さんて奥さんも子供さんもいますよね。VR装着してそんな事してるの見つかったらヤバくないすか?度胸満点すね」
「う〜ん…。書斎があるから大丈夫でしょ?」
もし見つかったらヤバすぎる。
VRはこれまでのエロアイテムと比べ、見つかった時の被害が甚大すぎる。
これまではもし同居人に見つかった場合、瞬時にやめる事が出来た。
馬鹿ヅラで「な、なんだよぅ〜。ノ、ノックぐらい…し、しろよ〜」と口を尖らせて、下半身丸出しで咄嗟に切り替えたNHKのニュースを見ながら誤魔化せばいいのだ。
ところがVRではそうはいかない。
見つかってもやめないのだ。
ヘッドフォンして、VRを装着しているのでやめれないのだ。
エロ世界の住人のままご対面。
見つけた方が逆にタジタジなるくらい。それはもう相手にトラウマを植え付けるレベル。
被害者の皮をかぶった加害者だ。
で、全てが終わり、VRを外した時に唖然とする同居人と悲劇のご対面。
そんな事が起きたら、再びバーチャルの世界に身を投じてしまう。
VRが今よりももっと家庭に普及したら、親バレ、嫁バレ、彼女バレ、子供バレといった惨劇が各家庭で起こる事だろう。
「見つかってるのにやめない」なんて間抜け過ぎる。
家族からとこしえに馬鹿にされ、家庭崩壊寸前だ。
そんな事を考えていると風藤さんが言ってくる。
「で、今からVRのエロソフトを買いに行くの付き合ってくれない?」
二つ返事でOKし、新宿の3階建てアダルトグッズ店へ向かう。
目当てのVRのエロソフトコーナーへ着くと、風藤さんは真剣な眼差しで吟味している。
先輩に喜んでもらおうと真剣に選ぶ、その一生懸命な姿に頭だけでなく亀頭も下がる思いだった。
私は暇になり、フロアを何の気なしに散策した。
店内に陳列されたアダルトグッズの数々を見ては、1人感嘆の声をあげた。
「ほぇ〜〜。都会の秘宝館といった感じですな!」
デカめの独り言を漏らす危ないおじさんだった。
色々見ていると、ある品物に目が止まった。
『超重量感6kg』『セクシー女優〇△の性器をリアルに完全再現!!』
バラバラ殺人のように腰から太ももの付け根までが切り取られ、それをシリコンで型どった不気味なアダルトグッズ。
側面にはリアルな内部構造の写真。
そのまま医学部の資料になりそうなくらい。
値段を見ると2万5千円。
いや、誰が買うんだよ!
いつも思う。2万5千円もの大金をカジュアルに性具購入費に充てれる奴って、どんな奴なんだ。
金はあるけど女にはモテない。
けれども風俗などで欲を満たすのではなく、こういったグッズで純潔を保つ真の勇者のような助平なのだろう。
いつのまにかレジで会計をしている風藤さんが私に話しかける。
「いや、流石にそれは買わないですよ」
そりゃそうだ。
VRを装着して、こんなものを使っている所を家族に見つかったら一巻の終わりである。
家庭崩壊寸前ではなく、完全に崩壊だ。
誕生日と没日が同じ日になることだろう。
今日思った事
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