昨日は「笑ギャラリースペシャルライブ」だった。
我々が一年半前に毎月レギュラーで出演していた「笑ギャラリー」の何百回かもしくは何十年目かを記念したスペシャルライブ。
スペシャルとあって、出演者も『ねづっち』さんや『だいたひかる』、『まとばゆう』に『ゆきおとこ』、『4号線』に『シューマンジュークボックス』と後半の芸人は知らなくて当然の知名度の方々。
この『笑ギャラリー』を仕切っているのが
大島さんという70歳後半のよだれを常に垂らしているおじいさん。
比喩的表現ではなく本当によだれを垂らしているので、芸人たちからは「よだれライブ」と揶揄されているほど。
一年半ぶりに会う「よだれ」は、相変わらずのよだれぶりで、よだれの垂れ具合にターボがかかっていた。
「ドラクエ」のくさった死体くらいよだれを垂らしていた
が、受付でよだれ爺さんは取り置きの客に対してケンカ腰で対応する。
「あの〇〇で取り置きしたんですが…」
「誰、それ?芸人の名前は?」
「いや、ちょっとわからないんですけど…〇〇さんって方です」
「だから芸人の名前は!?」
とよだれダラダラの失礼な対応。
たまたま見てた我々が間に入り、お客さんを通す。相変わらずだ。
客がいっぱい入っていようが関係ない。治安の悪いライブだ。
我々はこのライブに6年くらいレギュラーで出させて頂いた。
ライブ終わりに楽屋で、作家さんからの寸評とダメ出しをもらい、その日の優勝者を決める。
写真は、普段スーパーのレジ打ちをしている『ささきひろみ』さんのネタ、レジ打ちあるあるをラップにのせて歌い上げるというネタに対して、一回りくらい年下の作家さんがダメ出しをしている所だ。
この後、よだれの大島さんが見るに見かねて助けを入れるという現場に立ち会った。
シニア同士の淡い恋と切なさが詰まった写真である。
ある日、60歳くらいの男性をよだれの大島さんが作家さんとして連れてきた。
その日からその男性も加わり、ネタのダメ出しをしてくれるようになる。
が、その男性は作家さんの筈なのに『ウーマンラッシュアワー』や『ハマカーン』などの芸人を知らないという変わり種。
で、食いつくのは下ネタ。下ネタに過剰に喜び、「こういうのはどうかな」と出すアイデア、出すアイデアがどれもドぎつい下ネタだった。
そんな謎の作家さんに私は気に入られ、一度昼飯を奢ってもらった事がある。
その時に一体何ものなのかを確認するため、聞いてみた。
「作家さんみたいな事をやってらっしゃるんですか??」
「いや、まぁ…作家というか、アレだね」
「アレ?アレっていうのは?」
「まぁまぁまぁ、アレだよ。」
「ん?え?作家さんではないんですか?」
「いや、まぁ、やってない訳ではないよ。あの〜、ほら。ポルノの…」
なるほど。ポルノ映画の脚本家か。なので、謙遜して言っていたのだな。
ただ有名な映画監督が意外にポルノ映画出身である事が多い。なので私は
「いやいや、ポルノ映画でも全然、芸術性の高い作品はありますからね」と持ち上げる。
すると「いやいや、ポルノビデオの脚本もやってたけど、男優もやってたかな」
男優かい!!!
俺ポルノ男優にネタのダメ出しを一年半くらい受けてたんかい!!
「今まで1000本くらいは出演したかな」
結構出てんな!
ベテランのポルノ男優かい!!
ポルノ男優とよだれ爺さんが織りなすライブ、それはそれは刺激的だった。
そんな「笑ギャラリー」のスペシャルは満員御礼で盛り上がっていた。
我々は仕事の都合で出番を終え、すぐに劇場を出て次の仕事場に向かった。
次の仕事場で会った地下ライブマニアの『ホタテーズ』の後藤に、「笑ギャラリー」の話をしたら
「マジっすか!!俺も出たかったすわ!!」
とよだれを垂らしていた。
今日思った事
嫌な引きこもりの特技:祝日を全部言える