夜の訪問者-15-
夜の訪問者-15- アパートに帰ると、12時を過ぎていた。 幽子は、先に来て待っていた。「随分遅かったわね。何をしていたの?」「よせよ、お前と相談して利之を尾行していたんじゃないか。お前は、俺の行動を見ていたのじゃないのか。」「だって、こんな時間じゃない。あなたの食事の準備に奔走していたのよ。」「そうか、そりゃすまなかった。」「あなたも御苦労さまでした。まずはお食事をしながら一杯どうぞ。」「うん、でも汗をかいたから、風呂に入るよ。」「そう、背中でも流しましょうか。」「いや、いいよ。先に飲んでいてくれ。」「そんな、働いて来たあなたより先に飲むなんてできないわ。早く入って来てね。」 光義は、お湯に浸かりながら、もし幽子が裸になったらどんな姿をしているのだろうと思った。幽霊だから脚はないはずである。すると、どこからどうなっているのだろう。興味がないではなかったが、ちょっと気味が悪い気もして、背中を流すと言うのを断って良かったと思った。 風呂から出ると、幽子が持って来た寿司をつまみながら冷酒を飲んだ。部屋こそ狭かったが、今では冷蔵庫も買ったし、テレビも買ってある。 早速、幽子が今日の様子を聞いたので、光義はさっきまであったことを話した。それを聞いていた幽子が言った。「あなた、やり過ぎよ。そんなことをしたらバレてしまうわ。あなたは元々刑事になんか向いていないのよ。」「うん、ちょっとドキッとしたよ。」「あいつは、人を殺しても平然としている奴よ。大丈夫かしら?」 光義は、途端に酒の味が悪くなったような気がした。 夜が遅かったので、夜明けが早くやって来た。小鳥の鳴き声が聞こえて来て、幽子は姿を消して行った。 -続く-