感染性胃腸炎
 感染性胃腸炎という診断名は様々な原因による症候群であり、ウイルスや細菌によるもののほか、寄生虫によるものもあります。冬季に発生する感染性胃腸炎のほとんどがウイルスによる胃腸炎です。
 原因ウイルスは、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、アストロウイルスなどが知られています。
 また、細菌性のものとしては、サルモネラ、カンピロバクター、エルシニア、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ等によるものが知られています。
 例年初冬から増加し始め12月頃にピークとなります。食品(生牡蠣、サラダが多い)から病原体が検出された場合などは食中毒となります。
 学校、保育園、社会福祉施設など集団生活をする施設で発生した場合は、集団感染になることがあります。

臨床症状
 主な症状は嘔吐と下痢ですが、嘔吐または下痢のみの場合、嘔吐の後下痢がみられる場合とさまざまで、症状の程度にも個人差があります。37~38℃の発熱がみられることもあります。嘔吐や下痢、発熱で脱水症状を示すこともあるので注意が必要です。(潜伏期1~3日


  • ノロウイルスによる感染性胃腸炎
  •    ノロウイルスに感染すると1~2日の潜伏期間を経て,吐気,嘔吐,下痢を主な症状として発病します。

       一般的に症状は,軽症とされていますが,高齢者や乳児では脱水症状を起こす場合もあります。

       ウイルスは,患者が回復しても3~7日程度,糞便の中に排泄されます。


  • ロタウイルスによる感染性胃腸炎
  •    ロタウイルスに感染すると約2日の潜伏期間を経て,嘔吐,下痢,発熱を主な症状として発病します。

       特に乳幼児では,この3症状がそっろって現われ,また,脱水症状となることもあります。

       また,せきや鼻水などの症状も現われることがあります。

       ウイルスは,患者が回復しても約3日程度,糞便の中に排泄されます。



    感染経路
     ◆人から人への感染
      吐物や便の中に含まれるウイルスが手、あるいは手で触れたものを介して口に入り感染します。吐物の飛沫から感染する場合もあります。

     ◆汚染された水、食品からの感染
      食品を介した感染で最も多いのは貝類による感染で、ウイルスに汚染された二枚貝を生、あるいは加熱が不完全なままで食べることにより感染します。また、感染性胃腸炎の病原体を持っている人が調理した際に食品が汚染され、その食品を摂取した場合に感染する場合もあります。

    予防
     感染性胃腸炎は、多くの場合、患者との接触や、汚染された水、食品によって経口的に感染します。手洗い、うがいを励行し、日常的に清潔を保つことが重要です。特に、排便後や調理前は石けんと流水での手洗が大切です。タオルの共用を避けることも必要です。
     また、便や吐物の処理をする時は素手で触らず、ビニール手袋を使用してください。汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を希釈したものを使用してください。
     ウイルスは熱を加えると死滅するので、ウイルスに汚染されている可能性のある食品は、中心部までよく加熱してください。食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。