高野山の奥之院の手前、御廟橋の右手に水向地蔵と呼ばれる多くの地蔵菩薩さまがおわします。後述する諸事情があり両親のご先祖のお墓参りに行けない私は、高野山に参る度にこの水向地蔵の手前で卒塔婆に、「母親の実家先祖代々」「父親の実家先祖代々」と奉職されている方に書いて頂き、ご先祖様が成仏されていますように、健やかでありますように、と祈りながら卒塔婆に水を手向けています。


 供養の仕方は卒塔婆を書いて下さる方が「やり方はご存知ですか?」と聞いて下さいますので、その通りにいたします。流れといたしましては、一基につき300円(2025年8月現在)を納めてどなたの供養をお願いしたいのかお伝えし(戒名だけではなく◯◯家先祖代々、また個人名でも書いて頂けます。)、書いて頂いた卒塔婆を受け取り、見渡して何となくピンと来た地蔵菩薩さまの足元にある箱へ卒塔婆を立てかけ、箱の下にある鉢から柄杓で水をすくって卒塔婆へ水を優しく手向けます。水をお像に掛ける場所も各地にございますが、こちらでは卒塔婆へ手向けて下さいと説明されます。また、この時に書いて頂いた文字が水で消えていきますが、心配ございません。


 高野山のここへ来れば、僅かばかりのお金をお納めするだけで、ご先祖様や、もう会えない人に供養をして頂けるのは本当にありがたいな…と思います。

 私は本当に血縁が薄く、それは私の父母が周囲の方の体験談、私自身の体験談として、それは周囲から敬遠されても致し方なし、むしろ何とか繋がっていた縁を自身の言動でぶった斬って行くタイプでしたので、ご先祖の供養をしたかった私にとっては「ご先祖断絶クラッシャーズ」である両親に対しては並々ならぬ感情がございますので、このように供養させて頂けるのは本当にありがたいことです。


 ちなみに存命中の片親は、私の知る限り聞く限りでは供養など何もしておりません。お墓の場所は知っていても、そこに繋がる縁をドン引き発言で断ち切ってしまった為です。当事者では無い私も発言のあまりの酷さに慄きました。しかも無邪気に発言されたようで、尚更でした。親に戦慄する機会は、私にとっては残念ながらよくあります。そして今、残された片親との縁もじわじわと薄くしている最中ですので、お盆休みも帰省はせずに接触冷感敷きパッドに横たわりながらこの文章を書いております。


 普通にお墓参り出来る方が羨ましくもあり、帰らずとも済んでいる今が喜ばしくもある、色々な感情が同居している今この時です。