先日、小学校一年生のお母さんと

お話しをする機会があった。

 

お子さんは、

自閉スペクトラム症の男の子。

 

 

お母さんは、

その子が困らないように、

その子が不安にならないように、

彼の生活のほとんどに

つきっきりだったと言う。

 

例えば、学校の学習の準備。

「学校の支度をしよう」

と声を掛けて、教科書やノート、

下敷きに筆箱、鉛筆削りなど、

全て一緒に行っていた。

 

また、本人が不快な思いをして、

やる気がなくならないようにするには

どうしたらいいのか、悩んでいた。

 

例えば、毎日の宿題。本人が

×をつけられるのが嫌なようだから、

間違っている場合に、どの段階で、

どのように、それを伝えればいいのか、

悩んでいた。

 

お話ししている中で、

お母さんの気持ちが、かなり

一杯一杯になっていることが、

その表情から伝わってきた。

 

その子の色々なことが、

もしかしたら、全てのことが、

心配で心配でたまらない様子だった。

 

スクールカウンセラーとも

話をしていた。

 

スクールカウンセラーには、いい意味で

「お母さんの方がもう少し、手を抜いて

 子どもに任せてもいいのでは?」

というようなアドバイスをいただいた

ようだった。

 

お母さんのお話やお気持ちを伺い、

その不安や心配の度合いがとても

大きいことが分かった。

 

これまで、多くの子どもたちや

保護者の方と接していて思うのは、

子どもの不安や心配と、

保護者の心配や不安は、

比例関係のようになっていること。

 

つまり、

保護者の不安や心配の

度合いが大きい場合、

子どもの不安や心配の度合いも

大きくなりやすいということ。

 

保護者の不安や心配の気持ちは、

知らず知らずのうちに

子どもにも伝わってしまう。

 

そして子どもは、

それを敏感に察知する。

 

すると、子どもは、

保護者の不安や心配を

軽減する言動をとるのではなく、

それを助長する言動をとる

ことが、往々にしてある。

 

例えば、子どもが

「学校はつまらない。行きたくない」

と言ったり、

「お母さん(ママ)も学校に来て!」

と言ったり…。

 

親子で不安と心配の渦に入ってしまい、

それをそれぞれが増長させてしまう。

 

子どもは親を頼るような言動を

とることで、親を安心させようと

しているけれど、結局それが、

親の心配や不安をより大きくして

しまうという構図。

 

そして、どんどん

負のスパイラルに入ってしまう。

 

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一通り、お母さんの不安やお気持ちを

伺ってお伝えしたこと。

 

・自分(子ども)のことは、もう少し、

 子どもに任せてみる。

 

・本人が困らないように先手を

 打つのも大事だけれど、

 子どもが本当に困っている時に

 「手伝ってほしい」というヘルプ

 サインを出せるようにする。

 (いつもいつも、困らない状況に

 いられる訳ではないので、困った

 状況でどのように対処すれば

 いいのか、わかるようにする)

 

・宿題(勉強)等で間違っているところを

 伝える場合には、子ども本人に、

 どのタイミングで、どのように

 伝えてほしいのか、聞いてみる。

 (子どもとコミュニケーションを

 とる気持ちで)

 

・人から何か言われる(指摘される)ことは、

 「注意」ではなく「アドバイス」で

 聞いておくと、いいことが多いことを

 伝えておく。

 

・お母さんは、十分、頑張りすぎる位

 頑張ってお子さんに向き合っているので、

 これ以上、頑張りすぎない。

 お子さんの伸びる力を信じて、

 一緒に見守ったり、支援したり

 していくということ。

 

お母さんは、本当に一杯一杯だった。

 

お母さんの目から、涙がこぼれていた。