2025年12月12日

 

 あっという間に時が経ち、若木小学校での制作から帰って1週間が経ちました。その前のパラオやオランダの疲れをひきづったままの活動だったので満身創痍でしたが、なんとかやり遂げることができて本当にほっとしています。これまでいろんな場所でいろんな絵を描いてきましたが、今回若木で描いた絵は一つの集大成のように感じています。新しい場所を訪れ、その土地についての絵を現地の子供たちと一緒に描いていく。そしてその作品は長くその場所に残っていく。この一連の制作プロセスは僕がアーティスト人生の中で生み出した独自のものだと感じていて、ある意味でここまでの僕の人生そのもののような気がしています。

 

 

 若木の人々は特にその土地への想いが強く、その思いを後世に残したいという願いがありました。自分のルーツにも通じていることもあり、できる限り寄りその思いに添って制作したいというのが今回のテーマでした。

 お披露目会の日。体育館に全校生徒が集まり、先生方、地域の人々、メディアの方々、みんながその絵に注目していました。みんなの期待を一身に浴びながら作品をオープンした瞬間、作品は人々の心を一つにする!と心からそう思いました。その時その絵を見た人々の頭の中では様々なことが駆け巡ったと思います。

 

「綺麗な作品!」「僕が描いた場所はどこかな?」「若木の楠だ!」「あの場所も描かれてる!」

 

そうした第一印象の後に、この大きな作品を頑張って描いていた姿を思い出し、より心が温かくなったと思います。プリンターで同じサイズに印刷して出力したものとは全然違う、手を動かして描いたからこその感動がそこにあるのだと思います。

 

 

 

 今年はいろんな場所で絵を描いてきました。AIやテクノロジーが発展するにつれて、実際に手を動かして作るプロセスが与える感動はむしろ大きくなっていくと思います。大切なのは表面的な絵の完成度ではなく、どんな作品がその人の心に長く残るかということ。今回の若木ではそんなことを考えさせられる機会になりました。

 

 近いうちにまた若木小学校に戻ってきたいなと思います。この作品がもたらす効果はまだまだありそうな予感がしています!

 

 

若木小学校150周年記念プロジェクト 完