これは自費免疫療法業者のステルスマーケティングだろう
この記事は広告とは書かれていないが、非常に不適切な記事を紹介する。
世界で認められている「免疫療法」が、日本で「インチキ」になる背景
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1805/15/news046.html
ーーーーーここから一部引用ーーーーー
「例えば、抗がん剤治療を集中的に行った後に、その効果をさらに引き出すために免疫療法をやるなど、標準治療と免疫療法は連携することも少なくない。
〜〜中略〜〜
このような認識は、半分当たっているし、半分は間違っている。
確かに、「免疫療法」をうたって、科学的根拠のない治療を提供している悪徳クリニックが存在しているのは事実だ。そのおかげで、日本では「免疫療法=怪しい治療」という認識が社会にすっかりと定着しているわけだが、世界を見渡せば、この認識はかなり時代遅れというか、「勘違い」と言わざるを得ない。
例えば、ゲノム研究の世界的権威として知られる、米・シカゴ大教授でもある中村祐輔氏は自身のブログでこう述べている。
『科学として免疫療法は確固たる位置を築いたことは明白だ。日本では、いい加減な免疫療法が広がることを問題視し、憂慮している人が少なくないようだが、欧米ではいろいろな免疫チェックポイントを対象とする治療薬や多種類の免疫療法の検証が進んでいる。「怪しい免疫療法が広がることを懸念して、まともな免疫療法を抑え込む」ことは非科学的だ』(中村祐輔のシカゴ便り 2017年4月2日)
〜〜中略〜〜
20年近く日本で免疫療法の研究や論文発表を行い、Aさんの治療も担当した瀬田クリニックの後藤重則院長が解説する。
「免疫療法にエビデンスがないというのは事実と異なります。例えば、米国臨床腫瘍学会の論文では、免疫療法に関して6756人の患者さんを対象に18のランダム化比較試験が行われており、免疫細胞療法やワクチンが有効であったと結論づけています。
〜〜中略〜〜
そもそも、エビデンスというものは「あり」「なし」で語られるような単純な話ではない。にもかかわらず、あたかも免疫療法にはまともな臨床試験ゼロ、科学的な論文もゼロという、「印象操作」と言ってもさしつかえない露骨なバッシングが行われているのだ。
〜〜中略〜〜
「免疫療法」と聞くだけで、拒絶反応
確かに、冒頭に登場したAさんも、もともと有名がん治療機関で化学療法を受けていたところ、友人やセカンドオピニオンの勧めもあって、瀬田クリニックで免疫療法を受け始めたのだが、そこから両方の医師が綿密に連携して、互いの効果を経過観察しながら治療にあたった。このように、化学療法と免疫療法を二者択一で選ばせるのではなく、互いのいいところを引き出し、補完し合うことが、Aさんの「奇跡の回復」につながったのだ。
〜〜中略〜〜
「標準治療が効かなければサヨウナラ」という日本のがん医療が皮肉なことに、免疫療法詐欺のナイスアシストをしているような状況なのだ。
〜〜中略〜〜
「怪しげな免疫療法」がまん延している責任の一端は、科学的に認められている免疫療法をいまだ「インチキ」呼ばわりする日本の医師たちにもあるのではないか。
----------引用終わり----------
詳しくはリンク先を参照してほしいが、この記事のどこがおかしいのか、一般の方にはわかりにくいだろう。
突っ込みどころをたくさんあるが、要点をあげ、順に解説する。
(1)まず「免疫療法」というひとくくりで議論しているところで、ナンセンスな記事。
免疫療法の歴史は古いが、理論や培養細胞実験、動物実験の報告でうまくいっても、人間のがん治療で成功したのはつい最近のこと。
その代表例が免疫チェックポイント薬である、オブジーボ(一般名ニボルマブ)、キートルーダ(一般名ペンブロリツマブ)などであって、ステージIVのある種の固形がんでは2〜3割が長期生存可能となる。
これらは非常に高額で国家財政を破綻させると話題になったが、その理由は、本当に効くから。
国家が、認めざるを得ない結果を出したため、税金を投入せざるを得ないのだ。
逆に今までの自費での活性化リンパ球療法、免疫細胞療法、ペプチドワクチン療法は、国を納得させるだけの結果を出せなかったため、保険適応とならなかったわけだ。
免疫チェックポイント薬の成功にあやかって、「免疫療法」という言葉上の印象でひとまとめにしているが、実態は全くの別物だ。
国はだませないが、希望をなんとか持ちたいが理解力の乏しいがん患者なら商売の対象になると思っているのだろう。
前述の世界の免疫療法の18の臨床試験のデータを出してもしょうがない。
たとえば
「病気になった人が、病院に行った場合と行かなかった場合では、行った方が予後がよかったという報告がある」
と言うのと同じで、どの症状にどの診療科が対応したかを検討しないと意味がない。
抗がん剤は効くのか効かないのかと言う話では意味がないのと同じだ。
どのがん種、どの遺伝子異常で、どの場面で効くかはっきりさせて初めて意味がある。
本当の意味で、まともな治療とは保険認可されている治療のことだ。
ーーーーーここから一部引用ーーーーー
海外では、保険システムがしっかりしておらず、標準治療を受けるためには、とんでもない高額の支払いが
「料金が高い治療ほど効果がある」というのは間違いです。日本では、国の補助を受けられるために、「安い治療ほど効果がある」と言えます。効果が不確かな自由診療にあえてたくさんのお金をかける必要はありません。本当は高額の治療を安く受けられていることを良く理解してもらって、安心して標準治療を受けてください。
ーーーーーーーーここまで引用ーーーーーーーー
(2)インチキ免疫療法業者(瀬田クリニック)が我こそは正統で、他の自費免疫療法業者をインチキだと非難しているだけ。
樹状細胞、自家ワクチン療法、ANK細胞療法など色々な業者が、お互い非難し合っている現状があるが、全部の業者が延命効果を示す臨床試験の結果などないので、意味がない。
どこそこの大学と提携していようが、保険適応になっていないのは、結果を出していない証拠だ。
もちろんお互いの優劣も議論できないはず。
(4)肝腎の免疫療法自体にかかる金額そのものに言及していない(80〜300万円ぐらいかかる。後ろめたいのだろうか?)
抗がん剤治療の副作用は切実だが、自費免疫療法の経済的副作用も同列に議論する必要がある。
人によっては借金してまで工面し、家族の将来も巻き込むのに、金額を出していないのは、意図的な感じがする。
(5)標準治療が無効となった患者さんへの救済は必要である事はその通りだが、偽りの希望のために、莫大な「経済的副作用」を強いる理由にはならない。
標準治療がそのまま適応できる患者さんは6割ぐらいしかおらず(年齢や基礎疾患、臓器障害などのため)、標準治療が無効となった後が、本来の医者の腕の見せどころだ。
ペプチドワクチン療法や免疫細胞療法のようなちゃんとしたデータがそろっていない、言わば人体実験みたいなものなのに、患者さん負担とは、二重三重の意味で追い込まれることになる。
(6)臨床医の間では免疫チェックポイント薬以外の免疫療法が効いたという話が皆無
自分の受持患者さんでも自費免疫療法クリニックへの紹介や丸山ワクチンを希望する人がいたが、効果のあった人は見たことがない。
これは周りの医師(がん治療医、外科医など)にきいても、皆無だ。
もちろん5万人に1人ぐらいの、がん自然退縮は報告されており、絶対効かないと言うわけではないが、検討するに値するような確率ではない。
-------参考-------
★子宮頚癌化学放射線治療後再発がありながら、自然退縮し18年間生存している例の報告
Repeated episodes of spontaneous regression/progression of cervical adenocarcinoma after adjuvant chemoradiation therapy: a case report
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4453232/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/57/7/57\_1490/\_pdf
一部引用
Challisらの1900年から1987年までの癌の自然退縮例の集計では,741例中,腎臓癌は99例,悪性黒色腫92例,悪性リンパ腫68例など多くを認める
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pde/88/1/88\_152/\_article/-char/ja/
(7)当方は、どうしても抗がん剤と併用したいという患者さんがいて、やむを得ず紹介し、併診治療したが、抗がん剤の効果を免疫細胞療法の効果とばかりに宣伝に使われてしまった経験がある。
肝転移のある膵がん患者さんに、FOLFIRINOX療法を行ったところ、肝転移も原発巣も、画像上一時的にCR(完全寛解)となった。(免疫細胞療法開始前のCT画像で腫瘍縮小が確認されている)
しかし、地元のローカルTV医療番組で瀬田クリニック関係の病院の宣伝に紹介されてしまった。
それを見た、自分の他の受持の膵がん患者さんが、治療無効となったとき、「あのテレビに出ている免疫療法を試してみたい」ときかれたことがある。
「あれは、実は自分の受持患者さんで、免疫療法がきいたわけではないのですよ」と話したら、唖然とされていた。
これはでは、他の病院ではもっと被害者が出ている可能性があると考えられ、自分の患者さんが利用されたとなると心が痛い。
↓↓その事件を詳しく動画で解説しました↓↓
(8)この記事はどうも、瀬田クリニックの買い取り記事ではないかという声がある
中村祐輔氏は基礎医学では業績はあるが、臨床試験などに疎いようだ。
臨床側のがん治療医からは疑問の声が上がっている。
この記事を一般人が見ると、まるで純粋な医学記事のように見えるだろうが、中村祐輔氏は、瀬田クリニックと関係あるし、オンコセラピー・サイエンスというがんワクチンなどを開発する会社の大株主だ。
となると、記事は関係者ばかりの宣伝記事といっても良く、お金払って記事を配信したと思われてもしょうがない。
これはステルスマーケティングと言っても良いだろう。
ーーーーー本日の動画ーーーーーーーー
乳がんステージIV、今の治療法選択で良いのか?Q&A#43
(9分43秒)
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次回案内
◎ (第30回NPO法人宮崎がん共同勉強会東京支部会)
がん患者さんやその家族、あるいはがんについて興味ある人は誰でもご参加いただけます。
ご自身あるいは当該がん患者さんの診療情報をお持ちください。
セカンドオピニオン以上に、応用の利く助言ができると思います(ただし個別相談ではなく、出席者全員の前での助言となります)。
日時:2018年6月10日(日曜日) 11:00 ~ 15:00
場所: NATULUCK茅場町新館 3階大会議室
東京都中央区日本橋兜町12-7 兜町第3ビル 2F
東京メトロ東西線 茅場町駅から茅場町駅 12番出口 徒歩30秒
プログラム
11:00 開場(会場準備設定含むので、自由歓談)
11:30~12:00 ミニレクチャー
「未定」
12:10~12:50 自己紹介、近況報告
13:00 ~15:00 質疑応答(Facebook、YouTubeライブ動画配信あり、ただし出席者の顔は写りません)
(今回も懇親会はありません。7月から懇親会は同時開催します)
(一部の参加者にはありますとお伝えしましたが間違いでした。すみません。)
※ 今回40人限定となり、事前登録が必要です。
先着順で40人に達すると自動的に終了となります。
当日予約無しで来られた場合、お断りすることがあります。
申し込み開始は5月19日からで、このブログで案内予定です。
今後の東京支部会の予定日
平成30年 7月14日 (土) 11:00〜17:00 東京都 茅場町
(2時間の会場での懇親会あり)
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◎ 第68回宮崎善仁会病院院内がんサロンは2018年6月9日土曜日13:30~ 15:30です。
場所: 宮崎市新別府町江口950番地1 宮崎善仁会病院2F多目的ホール
予約不要です。
◎ 第98回宮崎がん共同勉強会
日時: 2018年5月26日土曜日
場所: 宮崎市新別府町船戸738-1
宮崎市郡医師会病院研修棟研修室。駐車場は病院
今回のテーマ:
「身内が、がんになる前に、家族として知っておきたかったことって何?」
11:30~13:00 患者さんだけの気軽なおしゃべり会
13:00~15:00 がん専門医によるレクチャーと質疑応答
15:00~16:00 FacebookとLINEなどを使ったスマホ勉強会をします。みん
なで教え合いましょう。
初めての方も気軽にご参加ください。
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