第45回宮崎がん患者共同勉強会で近藤理論の間違いを解説 | がん治療の虚実

第45回宮崎がん患者共同勉強会で近藤理論の間違いを解説

12月28日第45回宮崎がん患者共同勉強会が開催された。
このブログでは久しぶりのレポートだが、今回も30人ほど参加していただき、前半講義、後半質疑応答と各自の近況報告で盛況だった。

今回のテーマは「がん治療の昔の悪いイメージを覆す」という演題だったが、勉強会内部では実は初めて「近藤誠」氏の抗がん剤無効論への反論解説を行った。

高齢者が多かったためか、近藤氏の事を知っている人は半数ぐらいだった。しかしベストセラーとなっている「医者に殺されない47の心得」の著者と言うと、大多数の人は知っていたから影響力は大きいのだろう。
氏の著作を読んではじめからおかしいと思っている人もいるが、今現在抗がん剤治療を受けつづけている複数の患者さんが、「抗がん剤は効かない」という氏の主張を見聞きして戸惑っていると語っていた。
特に治療が理想通りにいっておらず、つらい思いをしている人ほど動揺している。

講義ではその主張の間違い(というか読者をだますからくり)を解説し納得してもらえたが、もっと一般人にも一目瞭然となる明快な反論解説が必要だと痛感した。

以前のシリーズでそれなりに詳しく反論記事は掲載したが、理論的におかしいところを指摘しても、それを理解するまでに手間がかかるようでは、説得力がどうしても劣るからだ。

近藤誠氏の著作が売れている理由の一つは、明快に理解できたと読者に錯覚させるのがうまいからだが、反論する側はそれがまさに錯覚だったと簡潔に理解できるよう工夫しなければならない。
そうしないことには今まさに抗がん剤治療を受けている患者さんたちの動揺と苦悩を解消できないだろう。

ということで、今のシリーズは一応置いておいて、新たに次回から、近藤理論の明らかな間違いをだれでも簡単に理解できる記事を先に連載していく。

そのポイントは

・近藤理論の根本をなす抗がん剤に延命効果はないと言う詐欺的根拠をまずは消化器がんという狭い領域で突き崩す(論点をぼやけさせないため)。

・最近は抗がん剤で延命してきたように見えるのは検査機器が発達して早く小さい転移巣が見つかって早く治療するからであり、見かけ上の生存期間が延びているだけだと言う「リード・タイム・バイアス」理論の誤謬を明らかにする。

・最大の誤解である「延命しても抗がん剤の副作用で苦しむ期間が延びるだけ」という時代遅れのレッテルをはがす。

・今の抗がん剤治療に不満が多いのは、抗がん剤治療のエビデンス(科学的根拠)に問題があるというより、治療現場での運用面の問題が大きい。

ということにしておこう。

------------おまけ------------
「リード・タイム・バイアス」理論が間違っていることが一目で分かる図を掲載する。
見ただけでその理由がわかる人にはわかるが、後日、念のため解説も行う。
大腸癌術後生存率