この世界の片隅のもっともっと片隅の人から見えない片隅で、朝起き、昼過ごし、夜は怯えながら眠る
片隅の弱いけれど弱くない人はなんと称賛されることであろう
なんとまわりに人が寄り
なんと笑顔でいることであろう
この世界の片隅のもっともっと片隅の人から見えない片隅で、うごめく虫のように息をし続ける身を
誰も知らない
誰も気に留めない
誰も興味がない
誰も
地獄を何度もくぐりぬけ
耐えに耐えてきたというのに
誰も
いや、冷たい目は向けてくれる
軽蔑はしてくれる
なんなら嘲笑さえしてくれる
逃げてさえくれるんだ
この世界の片隅のもっともっと片隅の人から見えない片隅で、それでも懸命に懸命に
御伽噺は訪れなかった
だから馬は茶色く
ぎゅうぎゅうの体をかかえて
ますます御伽噺は遠ざかり
時は解決してくれず
歳をとらせるだけであった
前を向いて見えるのは
もっと歳をとった自分
どうしようもなく
足の欠けたアヒルだった
この世界の片隅のもっともっと片隅の人から見えない片隅で、この世界の片隅のもっもっと片隅の人から見えない片隅で、
いつまで