救急病院で緊急手術後の医師からの説明に私ひとりだけ呼ばれ、

 

「ご主人きっともたないから、あなたは今のうちに少しでも休んでおいて。

もって3日かな…脳内の出血量が多くてね、できる限りのことはしたんだけどね。

子供もまだ小さいのがいるのに、ごめんね。ごめんね。」

 

そう言いながらとても哀れな表情で私を見ていたのです。

あんな目で人から見られたことなんて生まれて初めてで、忘れることができません…

 

何をどう考えてよいのか全く分からないなか、

当時中学生と小学生の子供たちには、まさかパパはあと3日でだめかもなんて言えず、

私はただただ孤独と無力感に襲われていました。

 

1週間前にはバーベキューに出かけていた夫が、

つい数時間前には大好物のキッシュとビールを味わっていた私が、

突然死と向き合うことになるなんて…!

 

深夜2時ごろの秋の月が明るくて綺麗で、まわりはいつもと同じで何も変わっていないのに、

私達だけが闇にのまれて悲しみ苦しみの底に落ちている気がして、

この世に神様はいないんだなと思った瞬間でした。

 

しばらくは普通に歩いている人を見るだけで、もしかしてこの人も身近な人が倒れた経験があるかな…家族が死の淵にいたりするかな…などと思ってしまう日々が続くのでした。