先日与えた「叫びの壺」を、

知的障害を伴う自閉症の彩夏は

出かける時には持つようになりました。

 

叫びの壺は、

まるでたこつぼのような形で、

底に小さな穴が開いています。

 

口に壺を当てて叫ぶと、

その壺の形ゆえに声の大きさが抑えられるという品物です。

 

叫び声が半端なく大きい彩夏には必需品です。

 

知的障害者就労継続支援B型事業所での休憩中も、

彩夏は叫びの壷を手放さないというのです。

 
 
 叫びの壺を初めて見た同じ事業所の利用者の中には、
何だろうと気になる人もいるようで、
触られては困るとでも彩夏は考えたのかもしれません。
 
で、休憩時間中は叫びの壷を赤い風呂敷に包み、
それを首に巻いているということでした。
 
彩夏らしいと言えば彩夏らしいです。
 
首に叫びの壷を入れた風呂敷を巻いていると、
両手は空いているので良いですが、
いざ、誰かがくしゃみをした時に、
すぐに叫びの壺を口に当てられないのが問題な気もしますが・・・。
 
 
先日、
彩夏の特別支援学校の同窓会があったんです。
 
時間が経つと先の卒業生の参加者は
どんどん減っていきますね。
 
自力で来られない子どもは、
親が付いて来ます。
 
さて、自由席だったので、
知ってる顔を探し席に着きました。
 
昨年の同窓会からどうしてたのかと、
福祉就労で賃金はどれくらいもらっているのかなど、
訊くことはいろいろ。
 
S君はてんかん発作が起き、
半年入院していたとのこと。
 
ちなみに彩夏の特別支援学校在学中、
高等部になってから、
初めててんかん発作を起こした子どもが3人いました。
 
うち2人は自閉症者です。
 
既往歴を訊いても、
今までてんかん発作は無かったというのです。
 
結構大きくなってからでも起こるんだなと、
驚いたものです。
 
将来M君にグループホームへ入って欲しいけれど・・・と、
M君のお母さん。
 
ただ、
M君が以前に大病をしているため、
いずれ何らかの身体の不調が起こると医師に言われたため、
医療にすぐ繋がる場所を望むとM君のお母さん。
 
みんなそれぞれに違う難しい問題を抱えているんだな
と思いました。
 
 
さて、
彩夏は障害者就労継続支援B型事業所で、
賃金は月に5000円ほどいただいています。
 
彩夏の所属する場所では、
ひと月分の仕事で得たお金は人数で割りますが、
あと考慮されるのは出席日数です。
 
彩夏のようにスローテンポで仕事をする人もいれば、
全く仕事ができない人もいますけれど。
 
ただ彩夏は仕事は遅いですが、
ボルトやネジ等のそうそう気づくことのない
わずかな傷さえ見つけて検品することができるのです。
 
これについては事業所の職員の方からは
褒めてもらっています。
 
昼食はお弁当を持参し、
家から職場まで主に私が送迎しています。
 
週に2日、帰りは福祉サービスを利用し、
迎えに行ってもらっています。
 
S君は自転車と電車で通っているとのこと。
 
電車は定期を買って乗っているものの、
交通費は月に1万3千円ほどかかるそうです。
 
これは自己負担です。
 
以前通っていた事業所は入院が長期だったため、
辞めたそうです。
 
昼食は事業所で給食を作っており、
それを食べると、
ひと月で7千円ほどかかるそうです。
 
他にもいろいろ経費がかかるそうで、
月に3万円ほど必要とのことでした。
 
実質2万6千円ほどの出費になるということでした。
 
なかなか大きな出費です。
 
M君は家から自転車で通っているとのこと。
 
彼の事業所でも給食を作っているので、
昼食代は月に6千円ほどとのこと。
 
M君の事業所では能力給となっており、
月に4千円ほどいただいているそうです。
 
ちなみにB型の事業所での全国での平均賃金は、
1万4千円位だそうです。
 
彩夏が行っている袋詰めやシール貼りなどの仕事ですが、
一つできると0.5~1円位です。
 
つまり100個できて、50~100円です。
 
でも、地域のそれぞれの事業所から仕事がいただけることは、
すごくありがたいことです。
 
仕上がった荷物を取りにくる事業所の方が、
出来上がった荷物を持って帰る場面に遭遇すると、
感謝の念がこみ上げてきます。
 
ただ、もうちょっと仕事ください、
できればもうちょっと単価を上げてくださいとも
希望はアリマスガ・・・。