2016.5.4 Tues.




卒業してわずかひと月半。
彼への気持ちは募るばかりだ。


本当の二宮くんのことはわからないけれど、感情を表に出せるようになったことだけは判る。



新しい環境?
新しく出会った『誰か』の影響?



その『誰か』に軽い嫉妬を覚えてしまう。








もっと自信を持って欲しかった。
ずっと変わって欲しかった。

でも……変わってしまったんだ。


微かに胸が傷み、そんな自分にガッカリする。





心の迷いを隠したまま、ふたりでケーキをいただいた。ずいぶん長居してしまったと気づく。
食器を片付け、戸締まりをして外に出た。



「つきあわせてごめんね。
 黒木さんに会えて嬉しかったよ。」


ぜんぜん相応しくない私に
貴方は優しく微笑みかけてくれる。


「じゃあ、ここで…。」
「ごちそうさまでした。」
「また、夏休みに帰ってくるよ。
 鈴木クンにもよろしくね。」




今夜は本家に泊まるという。
お祖母様の前でも感情を出せるのだろうか?
心が通えば良いのにな…。




ずっと隣にいた3年は
遠い過去になってしまった。
でも…。


「黒木さんは 医者になりたいって言ってたもんね。きっと叶うよ。」
「しっかりしてるし、
 もし独り暮らしになっても大丈夫。」
T大じゃなくても、また3人で同じ所に通えたら素敵だな。」



社交辞令だとしても彼の言葉に縋りたい。
その為にはまず自分のレベルをアップしなければ…。可能性はゼロじゃない。
出来ることは何でもやろう。

とりあえず荷物を取りに戻らなきゃ。





躑躅の咲き乱れる遊歩道。



一歩ずつ踏みしめるように歩く。
すこしずつ光を取り戻していくようだ。

私には思い出という宝物がある。

あの楠のそばを通るころには
きっとまた 前を向けそうな気がした。






~~~  Fin. ~~~
躑躅のころ ~GUTS!~









躑躅(ツツジ)のころ~GUTS!~
いかがでしたか?
亡くなったお母さんの誕生日、成長するのに避けて通れない思い出を本編(Louts)では触れなかったので、あえてR学園の黒木さんに登場してもらいました。
好きな人の成長をみたいけれど置いていかれるような寂しさも感じてしまう切ない気持ちを共感していただければ幸いです。