~夜の影~ ─前編─



オマエら…
そんな眼でオレを見るなよ……。





個別のrecordingが終わった。

ニノと松潤とオレ…。
スタッフが考えたユニット。
最年長のオレと最年少のふたりに…とんでもないセクシーな曲をやらせるんだ。

まぁこの年になれば、3才の年の差なんてないも同然で…。
ココはどれだけオトナな嵐を見せられるか、ファンもスタッフもソコを期待してんだろ?

にしてもさ…アイツら…どうなってんだ?
オレにどうして欲しいってんだ…。












……クッ……ハァッ……アァッ……ッ……

ギシッ……ギッ…ギッ…


汗が滴る。ベッドがきしむ。
どちらのものともわからない声にならない声。


「…ンクッ…カズッ…。」
「ダ…メ…。呼ぶな…。」
「アァッ…悪い…でもっ…。」
「…ンッ…ジュン、も…黙れっ…。」
「オ…マエこそっ…。」


…アァッ…ンフッ……アッ……アッ…ウッ…


いつからだろう、こうなったのは…。
いつも隣に立っていた、同い年の違うふたり…。全く違うふたりが同じ人を見つめてた。その人を眼で追うと、必ず同じ温度で見つめているオマエがいて…。
ああ、コイツも同じ思いなんだと…。

あの頃…。
たったの3才、だけどオレたちは子どもであの人はもうオトナで…。憧れなのか尊敬なのかその気持ちに名前もつけられないまま時を重ねてきた。同じグループで同じ時間を過ごせることに満足してると言い聞かせながら。

特別な立ち位置を手に入れたくて、
自分が相応しいのか…いやアイツの方が…。
ずっと踏み出せないでいた。

そんな中、10周年を迎えて気づいた。
お互い無意識に寄りかかっていたことに。
────同じ熱を押し隠しながら。

15周年のハワイ、共に過ごした日々と
いくつもの夜は長すぎて…。
当たり前のように始まった。

他の誰かには解き放てなかった。
────そんな理由で越えてしまった。


そうしないと立っていられなかったから。
どっちがとか…もうどうだっていい。

嵐でいるために
やり場のない熱を互いにぶつけた。
────脳内であの人に置き換えて。


ぶつけ合い、慰め合うとき、
オレ達はお互いを呼ばなかった。
呼べなかった。それは暗黙のルール。
だだ、求めて補う。欲望のままに。
誰にも知られずただ夜の影で…。
他の誰かでは埋められないから。


照明を極限まで落として…
さらに眼を閉じ、唯一の相手を呼ぶ。

「…ンァッ…お…おのさ…ん…ンッ…。」
「ア…イィッ…リ…ィ…ダ…アァッ…。」

オレ達はあの人を想いながら…あの人を抱いてあの人に抱かれて……溶けあった。
縺れあい、絡まって、もう天地もわからないまま、お互いを奪い尽くす。間で音を立てているのは唾液か…汗か…体 液か…もしかしたら涙なのかもしれない。
果てれば現実に引き戻されると知っているのに欲望を吐き出さずにいられない。


ふたり揃ってオフの前夜は必ずその体を重ねるようになった。
年上の3人は気づいて、ふたりが付き合っていると思っているだろう。

それでいい。そう思ってくれるなら…。
堕ちるのはオレ達だけでいいんだ。


朝の光の中、お互いを見つめて微笑む。
もう後ろめたさはない。
満ち足りて幸福感さえ漂う。

夜の影におびえることもない。
明日は3人で打ち合わせだ。





…to be continued


 



長くなってしまったので、分けます。